着ける[語句情報] » 着ける

「着ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

着けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
ぽろぽろとたわいもなく流れ落ちた。家の中では定子の声がしなかった。葉子は気を落ち着けるために案内を求めずに入り口に立ったまま、そっと垣根《かきね》から庭をのぞい....
弓町より」より 著者:石川啄木
することを閑却《かんきゃく》しつつあるようなことはないか。両足を地面《じべた》に着けることを忘れてはいないか。 また諸君は、詩を詩として新らしいものにしようと....
婦系図」より 著者:泉鏡花
した顔を勝手口から外へ出して路地の中を目迎える。 「奥様は?」 とその顔へ、打着けるように声を懸けた。またこれがその(おう。)の調子で響いたので、お源が気を揉....
朱日記」より 著者:泉鏡花
「気が騒いでならんが。」 と雑所は、しっかと腕組をして、椅子の凭りに、背中を摺着けるばかり、びたりと構えて、 「よく、宮浜に聞いた処が、本人にも何だか分らん、....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
ものでもひっかけられた上の話だ。真っ裸にして日干し上げて見ろ、女が一等先きに目を着けるのは、気前でもなけりゃ、男振りでも無え、金だ。何うも女ってものは老者の再生....
紅玉」より 著者:泉鏡花
このたびの不思議なその大輪の虹の台、紅玉の蕊に咲いた花にも、俺たちが、何と、手を着けるか。雛芥子が散って実になるまで、風が誘うを視めているのだ。色には、恋には、....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
こが魔所だの風説は、近頃一層甚しくなって、知らずに大崩壊へ上るのを、土地の者が見着けると、百姓は鍬を杖支き、船頭は舳に立って、下りろ、危い、と声を懸ける。 実....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
うに云って、片目を男にじろりと向け直して、 「何てまあ、馬鹿々々しい。」 と当着けるように言った。 が、まだ二人ともなにも言わなかった時、連と目配せをしなが....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ぬくみだッさ、奴が言う、……可うがすかい。 頬辺を窪ますばかり、歯を吸込んで附着けるんだ、串戯じゃねえ。 ややしばらく、魂が遠くなったように、静としていると....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
へ、日向にのぼせた赤い顔の皺面で、鼻筋の通ったのを、まともに、伸かかって、ハタと着ける、と、颯と映るは真紅の肱附。牡丹たちまち驚いて飜れば、花弁から、はっと分れ....
縁結び」より 著者:泉鏡花
のかかったように虫蝕のあとのある、塗ったか、古びか、真黒な、引出しのないのに目を着けると…… 「有った、有った。」 と嬉しそうにつと寄って、両手でがさがさと引....
黒百合」より 著者:泉鏡花
ついて、あれ、こんなに、」と可怨しそうに、袖についた埃を払おうとしたが、ふと気を着けると、袂は冷々と湿りを持って、塗れた砂も落尽くさず、またその漆黒な髪もしっと....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
んで、白足袋を穿いているさえあるに、髪が夜会結。一体ちょん髷より夏冬の帽子に目を着けるほどの、土地柄に珍しい扮装であるから、新造の娘とは知っていても、称えるにお....
式部小路」より 著者:泉鏡花
。 (沢山)とあるから、(それじゃお土産に、)と洒落にいって、捻ってお夏さんに差着けると、腕もちらりと透きそうに、片袖の振を、黙ってこっちへ向けました、受け入れ....
註文帳」より 著者:泉鏡花
ら取る。 五助は前屈みに目金を寄せ、 「ほら、日が合ってましょう。それから気を着けると、いつかも江戸町のお喜乃さんが、やっぱり例の紛失で、ブツブツいって帰った....