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「瞋恚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

瞋恚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
家来の二、三人はたちまち彼のために火の坑へ蹴込まれてしまった。彼は裂けるばかりに瞋恚《いかり》のまなじりをあげて、霹靂《はたたがみ》の落ちかかるように叫んだ。 ....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
めている高徳の聖《ひじり》に対し、深夜の闇に乗じて、ひはぎのごとく、獣のごとく、瞋恚《しんい》の剣を抜きそばめている自分を顧《かえりみ》ると、彼は強い戦慄が身体....
仇討三態」より 著者:菊池寛
で、一年ばかりの月日を過してから、雲水の旅に出て、越の御山を志して来たのである。瞋恚の念が、洗われた惟念の心には、枯淡な求の道の思いしか残っていなかった。長い長....
俊寛」より 著者:菊池寛
。基康はさすがに彼をあわれがって、船の中で炊いだ飯を持って来てくれたのであるが、瞋恚の火に心を焦していた俊寛は、その久しぶりの珍味にも目もくれないで、水夫の手か....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
座間がまた迷うのである。それまでは、ヤンとあの夜の狂態はなんだと、彼はマヌエラに瞋恚の念を燃やしていた。それが、こうして見ている、初々しさ……たどたどしさ。なん....
般若心経講義」より 著者:高神覚昇
苦の根本となっている「無明」を滅したことが、この「涅槃」です。 「貪欲永く尽き、瞋恚永く尽き、愚痴永く尽き、一切の諸の煩悩永く尽くるを、涅槃という」 と『雑阿....
霜凍る宵」より 著者:近松秋江
。自分より以上深い関係の人間がほかにあろうとは思えない。…… そうして心の中は瞋恚の焔に燃えたり、また堪えがたい失望のどん底に沈んでしまったような心持になった....
連環記」より 著者:幸田露伴
議|申間敷候と抑えられていた代であったから、定基の妻は中々納まっては居なかった、瞋恚の火むらで焼いたことであったろう。いや、むずかしくも亦おそろしく焼き立てたこ....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
そのように柳はどろやつばによごれた阪井の全身をその胸の下に包み、きっと顔をあげて瞋恚に燃ゆる数十の目を見あげた、その目には友情の至誠が輝き、その口元にはおかすべ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
売の娘だから、本当の兄もあるだろうと、この紳士大ぬかり。段々様子が解ってみると、瞋恚が燃ゆるようなことになったので、不埒でも働かれたかのごとく憤り、この二三日は....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
師僧も父母も色を失うた。諸宗の信徒たちは憤慨した。中にも念仏信者の地頭東条景信は瞋恚肝に入り、終生とけない怨恨を結んだ。彼は師僧道善房にせまって、日蓮を清澄山か....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
ことを」(此の言葉を言うとき念仏の句調、以後同じ)ああ、わたしとしたことが、また瞋恚の焔炎に心を焼かれ勿体ないお上人さまをお恨み申そうとしかけていた。「忘れまい....
平家蟹」より 著者:岡本綺堂
れませぬ。 玉虫 それ程わらわがおそろしいか。 雨月 怖ろしいとも存じませぬが、瞋恚執着が凝りかたまって、生きながら魔道におちたるお前さまは、修行の浅いわれわれ....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
け口のないロマンチシズムが立てこもる、虚栄という城砦は破壊され、その廃墟の上に、瞋恚と憎悪が、旗をたてたのだった。あの男はありとあらゆる意味で彼女を裏切り――精....
」より 著者:神西清
装おうと懸命に自分を抑えていたが、とうとうこらえ切れずに、私には馴染のふかい例の瞋恚のまなざしでわたしの眼を睨みつけて、「こういう方がありますのね」と言った、「....