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「瞑る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

瞑るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る嬰児殺しの動機」より 著者:佐左木俊郎
本当かね?」 若い検事はとくに、あなたという敬語を使って言った。そして彼は目を瞑るようにした。何か恐ろしい言葉が返ってくるような気がしたからであった。しかし、....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
這入りねえ。ようがすかい、向って右だ。その壁へ体を押つ付けなせえ。それからお眼を瞑るんで。開いたが最後大怪我をする。……物事早いが当世だ。さあさあ体を押つ付けな....
うつり香」より 著者:近松秋江
戸を閉めながらさも思いを残してゆくような嬌態を見せて、 「さようなら!」と、眼を瞑るようにしながら猫のような繊細い仮声をして何度も繰り返しながら帰っていった。 ....
縮図」より 著者:徳田秋声
自身の金力と親切を誇示するかのような態度に、好い気持のするわけもなく、それに目を瞑るとしても、今まで世話になった若林を裏切るだけの価値があるかどうかの計算もなか....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
もそれが窺われた。 しかし庸三は綺麗事で済まされないことも感じていたので、目を瞑るよりほかなかった。 小夜子は興味がなさそうに、やがて仏壇を離れて来ても、そ....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ゃ、ちょっと見物をしようと思うね。」 「まず、ご免じゃ。」 「さらば、其許は目を瞑るだ。」 「ええ、縁起の悪い事を言わさる。……明日にも江戸へ帰って、可愛い孫娘....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
蒼くなりて縋り寄りし、お貞は身動だもなし得ざりき。 病者は自ら胸を抱きて、眼を瞑ること良久しかりし、一際声の嗄びつつ、 「こう謂えばな、親を蹴殺した罪人でも、....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
時分には、思いの外に落付いて了って、現世に別れるのがそう悲しくもなく、黙って眼を瞑ると、却って死んだ良人の顔がスーッと眼前に現われて来るのでした。 兎に角こん....
大いなるもの」より 著者:宮本百合子
べて其の輝やかしい面を愁の涙に曇らして居る。 我々及び我々の背後に永劫の未来に瞑る幾多数うべくもあらぬ人の群は、皆大いなるものの面をみにくき仮面もて被い、其を....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
いまは、ただお米さんと、間に千尺の雪を隔つるのみで、一人死を待つ、……むしろ目を瞑るばかりになりました。 時に不思議なものを見ました――底なき雪の大空の、なお....
絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
捉まえて、その些中になるとどうも胸がむかついて来て――と云うものだから、私は眼を瞑るよりも――そんな時は却って、上目を強くした方がいいよ――と教えてやったものさ....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
る。どうにも切り込んで行けないのである。 とはいえ若武士も勇士と見える。両眼|瞑ると感覚だ。柄を双手に握りしめ「ウン」とばかりに突き出した。 だが何の手答え....
三枚続」より 著者:泉鏡花
目には持遁をしようというもんだ。」 「まさか、」といって客の金之助は仰向けに目を瞑る。 愛は小指のさきで耳朶をちょいと掻いて、 「酷いなあ、親方。」 「まあそ....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
たのみか、舞台の上で団十郎と顔をあわせることを拒んだ。そうして、その団十郎が眼を瞑ると直ぐにそのあと釜を狙って乗込んで来るとは怪しからぬ奴であるというのであった....
父の出郷」より 著者:葛西善蔵
も、そういう気持が出るのも一つは病気のせいなんでしょうが、Kさんの時なんか今目を瞑るという間ぎわまでも死神だとか何だとかそんなことは言わなかったようですがねえ、....