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瞬刻
「瞬刻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
瞬刻の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「草枕」より 著者:夏目漱石
配も伴《ともな》わぬのだろう。自然の力はここにおいて尊《たっ》とい。吾人の性情を
瞬刻に陶冶《とうや》して醇乎《じゅんこ》として醇なる詩境に入らしむるのは自然であ....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
安く漂《ただよ》っていた。発作前《ほっさぜん》に起るドストイェフスキーの歓喜は、
瞬刻のために十年もしくは終生の命を賭《と》しても然《しか》るべき性質のものとか聞....
「カーライル博物館」より 著者:夏目漱石
をのみ終りたる後、彼が空を仰いで「嗚呼《ああ》余が最後に汝《なんじ》を見るの時は
瞬刻の後《のち》ならん。全能の神が造れる無辺大の劇場、眼に入《い》る無限、手に触....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
れも分らない魂、心、はその口によって出口を見出すほかない。そうすれば、唇を越えた
瞬刻、魂の本然はいかほどまでに偽られているか、信子の心自身でない自分には、決して....
「C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
て刹那の「今」であったと申す点から評価されるので。直接の対象は永劫の「今」の其の
瞬刻に置かれるべきでございますまいか。何の為の先覚者でございましょう? けれども....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
こう事況が逼迫《ひっぱく》したうえは、早いが勝ち。
一日遅れれば一にち損!
瞬刻を争って相馬中村から剣客の一団を呼び寄せよう! へえ殿様、それが何よりの上分....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ょうか。それからのサスペンスもなかなか賞翫にたえるものであると思います。ああいう
瞬刻のサスペンスを、破らず深く保ちつづける情感そのものが、それから以後、きょうの....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
散った。そして間を置いては梵鐘が殷々と沈みとどろいて、生のうつり易いことを、この
瞬刻のいのちを撞き出しているかのようであった。 私は、彼女の横顔をぬすみ見てい....
「魔像」より 著者:林不忘
から、柄《つか》まで肉に喰い込んで突き――上げたと見えた秒間、その紙一枚のような
瞬刻《しゅんこく》だった。 ほらほらと椿《つばき》の花が咲いたように、剣と十手....
「姫たちばな」より 著者:室生犀星
人とも、指先が光った。 「行くぞ。」 「では、いいか。」 「射て。」 殆、同じ
瞬刻にこの言葉は放たれ、お互の耳の中に人の声としての最後にきくものだった。矢はつ....