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瞬間
「瞬間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
瞬間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ない四十恰好《しじゅうがっこう》の男が一人、端然として坐っていた。実を云えばその
瞬間、私は驚愕《きょうがく》――と云うよりもむしろ迷信的な恐怖に近い一種の感情に....
「影」より 著者:芥川竜之介
に切れ切れな声を洩らした。
「あの手紙は、――まさか、――房子だけは――」
一
瞬間の後陳彩は、安々《やすやす》塀を乗り越えると、庭の松の間をくぐりくぐり、首尾....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
うに花を煙らせていた。
「御主《おんあるじ》守らせ給え!」
オルガンティノは一
瞬間、降魔《ごうま》の十字を切ろうとした。実際その
瞬間彼の眼には、この夕闇に咲い....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
ったが、ちらりと見た顔貌《かおかたち》は瀬沼兵衛に紛《まぎ》れなかった。左近は一
瞬間ためらった。ここに求馬が居合せないのは、返えす返えすも残念である。が、今兵衛....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
抱《だ》きとった。犬は彼女の手の内に、ぶるぶる体を震《ふる》わせていた。それが一
瞬間過去の世界へ、彼女の心をつれて行った。お蓮はあの賑かな家《うち》にいた時、客....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
いるのを見た、鮮やかな黄いろい炎である。「ああ火が燃えている」と思う――その次の
瞬間には彼はもういつか正気《しょうき》を失っていた。………
中....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
ぎんねずみ》の姿を現したのである。彼は勿論「おや」と思った。お嬢さんも確かにその
瞬間、保吉の顔を見たらしかった。と同時に保吉は思わずお嬢さんへお時儀《じぎ》をし....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
た、如何に彼は、その放埓の生活の中に、復讐の挙を全然忘却した駘蕩《たいとう》たる
瞬間を、味った事であろう。彼は己《おのれ》を欺いて、この事実を否定するには、余り....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
でしまう。すると姉や浅川の叔母が、親不孝だと云って兄を責める。――こんな光景も一
瞬間、はっきり眼の前に見えるような気がした。
「今日届けば、あしたは帰りますよ。....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
それはちと無理かと存じますが……」
「ではそこへ案内して下さい。」
女の眼に一
瞬間の喜びの輝いたのはこの時である。
「さようでございますか? そうして頂ければ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
けられたから、小走《こばし》りに梯子段《はしごだん》を走り下りた。誰でもこう言う
瞬間には用のことしか思わぬものである。俺もそのためにいつの間《ま》にか馬の脚を忘....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
取り返せたことが、――運命の力の不思議なことが、やっと遠藤にもわかったのは、この
瞬間だったのです。 「私が殺したのじゃありません。あの婆さんを殺したのは今夜ここ....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
に鍵をさし込む時のそのさし込みかた、自分がいつも燐寸を探す場所、燐寸の燐がもえる
瞬間にちらッと部屋のなかに放たれる最初の一瞥、――そうしたことが、窓から一と思い....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
きとどいた陶器など、莫大な宝物が見えていた。 イカバッドがこの楽天地を一目見た
瞬間から、彼の心の平和は消えてしまい、彼の唯一の念願は、どうしたらヴァン・タッセ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
中にあるものなのだ。殺さずにはいられないのである。禽獣は、絶えず、毎日、生活の各
瞬間に殺しているのだ。――人間は自らを養うために、絶えず何かを殺しているのだが、....