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矜恃
「矜恃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
矜恃の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ひどく淫事を嗜《たしな》むようになったという事で、彼女は夜を重ねるごとに、自分の
矜恃《ほこり》が凋《しぼ》んでゆくのを、眺めるよりほかになかった。あの動物的な、....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
って、多鶴子を促した。 じっとクッションの隅に身をすくめていることは、多鶴子の
矜恃が許さなかった。多鶴子は黙ってうなずき、車の外へチョコレートの靴下に包まれた....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
思われない、屍様図の半葉が暗示されてくるのであるが――もしそうだとすれば、夫人の
矜恃の中に動いている絶対の世界が、あるいは、世にもグロテスクな、この爆発を起させ....
「黴」より 著者:徳田秋声
口から、これまでにもおりおりそんなことを聞かされたが、そう言うお銀にはお銀自身の
矜恃がないこともなかった。 「私だっていつ出されるか知れやしないわ。」 須田の....
「杉子」より 著者:宮本百合子
いつの間にやらあんなところへ行ってしまっている。そこには杉子の心の中でひしがれた
矜恃があるばかりでなく、伊田そのひとのために杉子が感じる屈辱感に似たものもあるの....
「地は饒なり」より 著者:宮本百合子
まった。 そして、面白いお噺《はなし》のこの上なく上手な話し手としての名誉と、
矜恃《きょうじ》とを失った彼女は、渾沌《こんとん》とした頭に、何かの不調和を漠然....
「三郎爺」より 著者:宮本百合子
知れない。とにかく、そんな処からは、すぐに出てしまった自分に、彼は今なお愛すべき
矜恃《きょうじ》を感じていることだけは確である。 けれども、「屋大工」の処には....
「「迷いの末は」」より 著者:宮本百合子
の文物にある俗物根性を批判した。より高い人間的水準の上に立つものとしての知識人の
矜恃を求めている。漱石の自覚にあった、このより高い人間的水準というものは、今日の....
「ツルゲーネフの生きかた」より 著者:宮本百合子
は、自身の全存在をかけて雄渾に且つ悲劇的に自身の懐疑ととりくみ、そのことに彼流の
矜恃をも感じているのである。ツルゲーネフが、自身の生活はなまあたたかく動揺のない....
「女性の歴史」より 著者:宮本百合子
の時代にもう武士階級の経済基礎は商人に握られて不安になっており、したがって武士の
矜恃《きょうじ》というものも喪われ、人にすぐれて敏感だった芭蕉に、その虚勢をはっ....
「若い娘の倫理」より 著者:宮本百合子
のモラルで見られていたし、その意味では職業婦人は先覚的な若い人たちとしての自信も
矜恃もあった。働く娘さんの数は少くて、そんなことを思ってもみないひとの方が多かっ....
「女と帽子」より 著者:豊島与志雄
つりしていましたね。あんなのは女に嫌われますよ。どうしたんです? 良心というか、
矜恃というか、何かがそこなわれでもしたんですか。そんなら初めから行かなければいい....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
、力調とのある直観的把握と高貴の徳との支配する世界に立つならば、日蓮のドグマと、
矜恃と、ある意味で偏執狂的な態度とは興味津々たるものがあるのである。われわれは予....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
た諸要素の厖大な織物であった。彼は縞羅紗ではなく綾絹だった。瞑想的な超越、個人的
矜恃の強さ、官能の不安定、野心の執着、鑑賞力の豊富――これらの諸性質が、混合し、....