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矢立て
「矢立て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
矢立ての前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
、じっと考えに沈んでいましたが、まことにこれこそは右門流中の右門流。そこにあった
矢立てをとると、懐紙へさらさらと、次のごとき一書をかきしたためました。 「――....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
くらいだ。寿平次は下女がさげて来てくれた行燈を引きよせて、そのかげに道中の日記や
矢立てを取り出した。藪原で求めた草鞋が何|文、峠の茶屋での休みが何文というような....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
散らしてあるんですよ。」 お隅がそれを半蔵に言って見せると、多吉は苦笑いして、
矢立てを腰にすることを忘れずに深川米の積んである方へ出かけて行くような人だ。 ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
かに甘んじていて、町人の家に生まれながら全く物欲に執着を持たない。どこへ行くにも
矢立てを腰にさして胸に浮かぶ発句を書き留めることを忘れないようなところは、風狂を....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
言葉をきって彼は洋服のポケットに手を入れた。やがてその手に、紙綴《かみつづ》りと
矢立てをつかんでいた。それを卓の上において、斜め前にいた阿賀妻のそびえた鼻を横向....
「鼻の表現」より 著者:夢野久作
の頭を持ったマスピス神が鼻の罪量を計るべく跪き、その直ぐうしろには記録係タータが
矢立てを持って、眼を瞠り耳を澄まして突立っております。その又うしろには頭が鰐、身....
「画学校時代」より 著者:上村松園
出掛けて行って縮図しました。 美術倶楽部で売立てがあると聞くと、私は早速く紙と
矢立てを持って駈けつけたものです。 そして、頼んではそれを写させてもらったもの....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
覚えのある弥生どのの筆跡。
よほど急いで認めたものらしく一枚の懐紙《かいし》に
矢立ての墨跡がかすれ走って、字もやさしい候《そうろう》かしくの文……。
という....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
。 結城《ゆうき》の袷に白の勝った唐桟《とうざん》の羽織、博田《はかた》の帯に
矢立てを差して、念入りに前だれまで掛けた親分の岡っ引きいろは屋文次、御用の御の字....
「縮図帖」より 著者:上村松園
模縮写させていただいたものである。 その時分展覧会があるごとに、どんな場合でも
矢立てと縮図帖とは忘れずに携えていっては沢山の縮図をしてきたものだ。 花鳥、山....