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知らず知らず
「知らず知らず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
知らず知らずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
は、こう信じて、おれの嫉妬《しっと》をおさえていた。もちろんこれも、あの女から、
知らず知らずおれが教わった、考え方にすぎないかもしれない。が、ともかくもそう思う....
「竜」より 著者:芥川竜之介
を建てたばかりに、こんな騒ぎが始まったと思うと、何となく気が咎《とが》めるので、
知らず知らずほんとうに竜が昇ってくれれば好《い》いと念じ出したのでございましょう....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
独り修理が林右衛門を憎むようになったと云うばかりではない。林右衛門の心にもまた、
知らず知らず、修理に対する憎しみが、芽をふいて来た事を云うのである。勿論、彼は、....
「或る女」より 著者:有島武郎
ぐつもりでいた。ところが実際は目に見えぬ力で人力車に結び付けられでもしたように、
知らず知らず人力車の通ったとおりの道を歩いて、はっと気がついた時にはいつのまにか....
「或る女」より 著者:有島武郎
と定子とを目の前に置いて、つつましやかな過不足のない生活をながめると、葉子の心は
知らず知らずなじんで行くのを覚えた。
しかし同時に倉地の事をちょっとでも思うと....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
とって、これだけの過失は想像もできない大きなものであるに違いない。子供は手の甲を
知らず知らず眼の所に持って行ったが、そうしてもあまりの心の顛倒《てんとう》に矢張....
「星座」より 著者:有島武郎
に落ちた。喀痰《かくたん》の中に新鮮な血の交ったのがいくつも出てくるのを見ると、
知らず知らず溜息が出た。古い紙屑の上に新しい紙屑がぼろぼろと白く重なっていった。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
たものですから、いささか諷する処あるつもりで、」 いつの間にか、有名な随神門も
知らず知らず通越した、北口を表門へ出てしまった。 社は山に向い、直ぐ畠で、かえ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
がちな疑いもなかった。子供のような快活な無邪気な一本気な心‥‥君のくちびるからは
知らず知らず軽い口笛が漏れて、君の手はおどるように調子を取って、紙の上を走ったり....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
すものではないか。私の生活が何等かの意味に於てその緊張度を失い、現実への安立から
知らず知らず未来か過去かへ遠ざかる時、必ずかかる本能の分裂がその結果として現われ....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
おとよさんがちょっとここへくればそのちょっとの間おとよさんがこの場の中心になる。
知らず知らずだれの目もおとよさんにあつまる。 顎のあたりゆたかに艶よきおとよさ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
んでいるんだから見辛いさね――そうしちゃ、舞台を覗込むようにしていたっけ。つい、
知らず知らず乗出して、仕切にひったりと胸を附けると、人いきれに、ほんのりと瞼を染....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
裡に己を襲うものが来り、近いて迫るように覚えて、今はほとんど耐難くなったと見え、
知らず知らず左の手が、片手その婦人に持たれた腕に懸って、力を添えて放そうとする。....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
おちいる傾向は、この谷間に生れつき住んでいる人だけでなく、しばらくそこに住む人も
知らず知らずのうちにみな取りつかれるのである。ひとびとが、この眠たげな地域に入る....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
尽して終う。人の輪が少し後ろへ下って、各々の顔に束の間の歓びの情が溢れて見える。
知らず知らず時が過ぎ去って、樹間を立ち騰る薄煙のあたりに、仄かに輝きそめた夕月が....