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「知らん振り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

知らん振りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
乞食学生」より 著者:太宰治
い事だ。僕は、わかったけれども、何も言えなかったのだ。言うのが、つらくて、いっそ知らん振りしていようかとさえ思ったのだが、いまビイルの酔いを借りて、とうとう言い....
家霊」より 著者:岡本かの子
。 徳永老人の髯《ひげ》の顔が覗く。 「今晩は、どうも寒いな」 店の者たちは知らん振りをする。老人はちょっとみんなの気配《けは》いを窺《うかが》ったが、心配....
作家の手帖」より 著者:太宰治
ろうという怪しい空想が起って来た。今夜これから誰か女のひとのところへ遊びに行き、知らん振りして帰って来る。そうして、来年の七夕にまたふらりと遊びに行き、やっぱり....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
てぬすみ見した。ぬすみ見して、その数量をも知っていた。それを、小山は、それだけは知らん振りをした。 「紅毛人は、やっぱし、教会だとか慈善だとか云ってけつかって、....
正義と微笑」より 著者:太宰治
来たような気がしていたのだが、三週間まえの水曜日みたいな赤恥をかくのは厭だから、知らん振りをしていた。 「なんだ、誰も出来んのか。」たぬきは嘲笑した。「芹川、や....
」より 著者:太宰治
、圭吾がそう言っていました。なに、あの嫁なんか一言も何も言いません。いまもって、知らん振りです。あの晩に、私が行って嫁にあれほど腹の底を打ち割った話をして、そう....
失敗園」より 著者:太宰治
ビの癖に、根だけは一人前に張っているのね。高邁な瞑想だなんて、とんでもない奴さ。知らん振りしてやりましょう。どれ、こう葉を畳んで、眠った振りをしていましょう、い....
善蔵を思う」より 著者:太宰治
んだもの。あなただけ優しくて、私ひとりが鬼婆みたいに見られるの、いやだから、私、知らん振りしていたの。」 「お金が、惜しいんだ、四円とは、ひどいじゃないか。煮え....
俗天使」より 著者:太宰治
屋が見えて、お互い朝夕、顔を見合せていたのであるが、どっちも挨拶したことは無し、知らん振りであった。当時、私は朝から晩まで、借銭申し込みの手紙ばかり書いていた。....
狂人日記」より 著者:井上紅梅
かつか進んで来て、わたしをふんづかまえて家へ連れて行った。家の者はわたしを見ても知らん振りして書斎に入ると鑰を掛け、まるで鶏鴨のように扱われているが、このことは....
頭髪の故事」より 著者:井上紅梅
剪り取ってしまった。 おや、まずいまずい、人声がガヤガヤした。わたしはそれでも知らん振りして、彼等のイガ栗頭と辮子頭と一緒に交って講堂に登るに任せた。 さは....
酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
私は少々耳が痛かった。しかし、もとは私のことから出たのであってみれば、この喧嘩を知らん振りして黙っている訳にはゆかない。喧嘩の場へ飛びこんでいって、 『やめろよ....
」より 著者:犬田卯
に利いたらお目にかからア。」 何か言いかえすかと夫を見たが、そっぽを向いたまま知らん振りで、相変らずばらばらと撒きつづけているので、おせきは威丈高になった。 ....
不在地主」より 著者:小林多喜二
村から年五千円上がるとすると、彼奴はそれをまず拓殖銀行に預金する。(一番上品に、知らん振りをしているが、「銀行」というものこそ、百姓の咽喉をしめる親方の総元締で....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
毒だから……とこう申すです。その事はもうよく私に知れて居るのですけれどもなんにも知らん振りして聞きますと、やはり前に私が聞いて居った通りの事をいったです。 私....