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「破風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

破風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ない。たとえばその沙門に化けた天狗が、この屋形の姫君に心を懸けて、ある夜ひそかに破風《はふ》の空から、爪だらけの手をさしのべようも、全くない事じゃとは誰も云えぬ....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
て儲けた家だと俥夫《しゃふ》が言った。池鯉鮒よりで気の付いたことには、家の造りが破風《はふ》を前にして東京育ちの私には横を前にして建ててあるように見えた。主人は....
雛がたり」より 著者:泉鏡花
戸の水の音が水底へ響いてポタン、と鳴る。不思議に風が留んで寂寞した。 見上げた破風口は峠ほど高し、とぼんと野原へ出たような気がして、縁に添いつつ中土間を、囲炉....
婦系図」より 著者:泉鏡花
らっしゃいます。」 「ええ、こちらへ、」 と裾を捌くと、何と思ったか空を望み、破風から出そうにきりりと手繰って、引窓をカタリと閉めた。 「あれ、奥様。」 「お....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
面の恐怖と云えば誰しも経験することだが、たとえば、白昼でも古い社の額堂を訪れて、破風の格子扉に掲げている能面を眺めていると、まるで、全身を逆さに撫で上げられるよ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
やでございますことね。――久女八が土蜘蛛をやっている、能がかりで評判なあの糸が、破風か、棟から抜出したんだろう。そんな事を、串戯でなくお思いなすったそうです。 ....
死者の書」より 著者:折口信夫
ども、かいてあるにはあった。其替り、天井は無上に高くて、而も萱のそそけた屋根は、破風の脇から、むき出しに、空の星が見えた。風が唸って過ぎたと思うと、其高い隙から....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
を見せたと申しますよ。 それもね、旦那様、まともに帰って来たのではありません。破風を開けて顔ばかり出しましたとさ、厭じゃありませんか、正丑の刻だったと申します....
羅生門」より 著者:楠山正雄
みる鬼の姿になって、空に飛び上がりました。そして綱が刀を取って追いかけるひまに、破風をけ破って、はるかの雲の中に逃げて行きました。 綱はくやしがって、いつまで....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
せたに相違ないのです。 雲の影は宮殿をおおいました。いっさいの景色は家の屋根と破風との海のように見えて、そのなかに一つの山のような起伏がはっきりと現われていま....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
喰の割目から生え伸びているほどで、屋根は傾き塗料は剥げ、雨樋は壊れ落ちて、蛇腹や破風は、海燕の巣で一面に覆われていた。 そうした時の破壊力には、えてして歴史的....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
始めた。ドーヴィル市の屋根が並べた赤、緑、灰色の鱗を動かして来た。その中に突立つ破風造りの劇場、寺の尖塔(上べは綺麗ずくめで実は罪悪ばかりの素材で作り上げたこの....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
た中にどこにももう灯火がちらちらしているのである。――眼を上げるとそこに本願寺の破風が暮残ったあかるい空を遠く涙ぐましくくぎっているのである。…… ……広小路....
新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
居の形にしてもらい度かった。がそれはそれとして、どうも歌舞伎座の形は美しくない。破風造りなども概念的な感じがしていやだ。内部も私は好まない。これに比べれば新橋演....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
だ。 至仏山の為に一旦遮断された利根川右岸の連嶺は、恰も四郎岳の上で小高の右に破風形をした柄沢山と、大高の左肩に蕎麦粒状の朝日岳とが、共に額から上を露している....