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硬さ
「硬さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
硬さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「絹と紙の話と師弟の間柄の話」より 著者:上村松園
と、いやにギラギラと光ってけばけばしい感じのするものですが、それも涸れて生々しい
硬さが抜けて来ます。総じて真新しいものに較べて柔かみのある落着いた感じのするもの....
「軍用鮫」より 著者:海野十三
やもうたいへんな発達ぶりです。今朝の診察によりますと、全体的に見まして、鮫の歯の
硬さは、二倍半も強くなりました。なかには四倍五倍という恐ろしい硬度をもっているも....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
でなされた。全部の研究ノートが二三度くりかえし開かれたが、彼女の硬い顔はいよいよ
硬さを加えた。彼女はついにノートの表紙を手にもって強くふった。それは何か彼女のさ....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
焼け切った、横蔵の精悍そのもののような顔――鋭く切れ上がった眥、高く曲がった鼻、
硬さを思わせる唇にもかかわらず、その髪は、豊かな大たぶさにも余り、それが解かれる....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
場合に対する異常な決意を仄《ほのめ》かせて、滝人はきっと唇を噛んだ。しかし、その
硬さが急に解《ほぐ》れていって、彼女の眼にキラリと紅《あか》い光が瞬《またた》い....
「数の子は音を食うもの」より 著者:北大路魯山人
子は他の魚とちがい、親にしんの胎中にいる時から、乾物を水でもどしたものとほぼ同じ
硬さをもっていて、生で食べてもパリパリ音を発するものである。このごろは冷蔵のおか....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
トグートと称する糸で結びつけましたが、鋼鉄では融通がききませんから、後には一定の
硬さを有するゴム管をその中間に挟むことに致しました。然しそれでも、度々、圧力が平....
「墓地の殺人」より 著者:小酒井不木
か」 やはり二人とも否定しました。 「どうも、はっきりは分からぬけれど、筋肉の
硬さから判断して、殺害は昨夜の十二時頃に行われたに違いない」 誰に言うともなく....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
は緋牡丹色で牛肉の霜降りのように脂肪の層が薄く出ている。それを噛むと牛肉のような
硬さがない。そして、鮪のとろのように口中に絡まる脂肪のあくどさがない。あっさりと....
「翻訳遅疑の説」より 著者:神西清
プロセスを、身裡に体感するまでには何という労力と時間とを費やし、あわせて調子の粗
硬さから来る一種の不快の感じを忍ばねばならぬことだろう。これを原文の含むなだらか....
「小刀の味」より 著者:高村光太郎
そういう妙味のあるうちにも信親のは刃金が薄くて地金があつい。地金の軟かさと刃金の
硬さとが不可言の調和を持っていて、いかにもあく抜けのした、品位のある様子をしてい....
「ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
う問題を示唆するもののように思われる。 次に彼は論じて言う。元子からいろいろの
硬さのものが造られるが、元子自身は完全に剛体であると考えなければならない。なんと....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
長い骨をたくさんに包んでいた。その骨が―― 余は生れてより以来この時ほど吾骨の
硬さを自覚した事がない。その朝眼が覚《さ》めた時の第一の記憶は、実にわが全身に満....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
国の作品が、大変理念的なものばかりなのは、これも注目する価値を感じました。その生
硬さ、メロドラマティックな筆致においても。今に、かりにこういう篇集があり得たら其....
「道標」より 著者:宮本百合子
―伸子はうけて来た許りの様々の印象で瑞々《みずみず》しく輝いていた眼の中に微かな
硬さを浮べた。
毎朝起きると、ドアの下から新聞がすべり込んでいるようになった....