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碧落
「碧落〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
碧落の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「門」より 著者:夏目漱石
ると、ふと仮名《かな》の交らない四角な字が二行ほど並んでいた。それには風《かぜ》
碧落《へきらく》を吹《ふ》いて浮雲《ふうん》尽《つ》き、月《つき》東山《とうざん....
「風狂私語」より 著者:辻潤
。) (2) 西谷 西谷勢之介のこと。1897-1932。詩人。奈良生れ。別号
碧落居、更然洞。学歴不明。「福岡日日」の記者など流転の生活を続け、大正12年大阪....
「李陵」より 著者:中島敦
己《おのれ》は草の上に仰向《あおむ》けにねころんで快い疲労感にウットリと見上げる
碧落《へきらく》の潔《きよ》さ、高さ、広さ。ああ我もと天地間の一粒子《いちりゅう....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
の会津の城内、氏郷は独り書院の柱に倚《よ》って物を思って居た。天は高く晴れ渡って
碧落《へきらく》に雲無く、露けき庭の面の樹も草もしっとりとして、おもむきの有る夜....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れが東西南北のいずれから呼びかけたかということは問題ではありません。お銀様は青天
碧落の上を、やや昂奮の気持で眺めておりました。 その時に、お銀様の眼の中にあり....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
師の言葉が、ハッと思い当ったからでしょう。 弁信法師のいうことは、上《かみ》は
碧落《へきらく》をきわめ、下《しも》は黄泉《こうせん》に至るとも、あなたの姉を殺....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
と、それは弥太郎の空耳ではなかった。昼のように明るい冬の月が晃々と高くかかって、
碧落千里の果てまでも見渡されるかと思われる大空の西の方から、一つの黒い影がだんだ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
按じるに、一方は深い谷間、往来は二重木戸。 加うるに、ここは高原なので、十方|
碧落身をかくすべき一木もないし、高低もない。 夜陰に乗じて事を為遂げるのは、元....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ているのである。
「…………」
飽かないように、武蔵は見いっていた。
十方の
碧落よりも、四方の野辺の自然よりも、武蔵にはこの小さい工芸品が、いちばん美麗に見....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
である。 暗たんたる中に、ツウ――と赤い、一筋の光がみえた。まさに無明の底から
碧落を仰いだような狂喜である。お綱は、われを忘れて闇を泳いだ。 そこへ駈け寄っ....
「三国志」より 著者:吉川英治
陵と河と平原ばかりの道を、四日も歩きつづけた。 幸い雨のない日が続いた。十方|
碧落、一|朶の雲もない秋だった。黍のひょろ長い穂に、時折、驢も人の背丈もつつまれ....