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「磨ぐ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

磨ぐの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
職工と微笑」より 著者:松永延造
ないように……』と兄の妻へ話しているのが聞えました。ああその時、私は何んなに刀を磨ぐのを控え、感謝の心を以て怒りを飲み込み、こらえ、しのんだでしょう。私の妻も声....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、ばさばさ燥いで、流も乾びている。そこいら何軒かして日に幾度、と数えるほどは米を磨ぐものも無いのであろう。時々陰に籠って、しっこしの無い、咳の声の聞えるのが、墓....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
飯草履という寒そうな風体で、それぞれ支度を始める。庭の隅にかがんで鋭い出刃包丁を磨ぐのもある。肉屋の亭主は板塀に立て掛けてあった大鉞を取って私に示した。薪割を見....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
来ると、床屋の亭主が砥石の方へ行ってぴったり剃刀をあてる音にも、力を入れてそれを磨ぐ音にも、彼は言いあらわしがたい快感を覚えた。むさくるしく延びた髭が水にしめさ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
たか、余程話を引出そうとしても、中々其手に乗らぬ。唯床屋をして居たと云う。剃刀の磨ぐのでもありませんか、とある時云うた。主人の髯は六七年来放任主義であまりうるさ....
青い眼の人形」より 著者:野口雨情
鳥の 歌は どの子に聞かそ あしたの朝は この子に聞かそ 二つの小鳥 畑で 米磨ぐ なんの鳥 あれは 畑の みそさざい 跣足《はだし》で 米五合 磨いだとサ ....
十二支考」より 著者:南方熊楠
なし。われらを生け取って恩賞を貪《むさぼ》るのでなかろうかと囁き、立ち聴きすると磨ぐ音やまず。さて二、三人の声して縛り殺せというた。さてこそ疑いなし、此方《こな....
時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
と燻製ものについては、博士は仲々くわしいのであった。 ちゃりんちゃりんナイフを磨ぐ音がした。博士はナイフをひらめかしてぐさりと燻製肉の一|片を切り取り、口の中....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
に蔦からまり、高き石段に苔蒸し、棟には草生ゆ。晃やがて徐に段を下りて、清水に米を磨ぐお百合の背後に行く。 晃 水は、美しい。いつ見ても……美しいな。 百合 ええ....
田舎風なヒューモレスク」より 著者:宮本百合子
おらあ……雨戸しめべえかしら」 とにじり出た。 「ほんにやんだこと……出刃なんか磨ぐた何だんべえ」 祖母が、下を向き、変に喉にからんだようなせき払いをしながら....
立山の亡者宿」より 著者:田中貢太郎
きな何処かに男好きのする処があった。女が無花果の青葉の陰を落した井戸端へ出て米を磨ぐと、小八はいばった口を利きながらも、傍へ往って手桶へ水を汲んでやりなどして、....
置土産」より 著者:国木田独歩
肥りて色白く、都ならば看板娘の役なれどこの二人は衣装にも振りにも頓着なく、糯米を磨ぐことから小豆を煮ること餅を舂くことまで男のように働き、それで苦情一つ言わずい....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
次、茶の給仕か。おやつの時を聞けば、もうそろそろ晩のお総菜|拵えにかかって、米を磨ぐ。……皿小鉢を洗うだけでも、いい加減な水行の処へ持って来て、亭主の肌襦袢から....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
人は下の小屋へ泊るというて、何やら入った袋をさげて下りてゆく。宗忠は鍋の中で米を磨ぐ、火にかける、飯が出来たらそれを深い水桶にあけて、その跡へは味噌をとき、皮も....
斬られの仙太」より 著者:三好十郎
仙太 これか、これは砥石よ。 段六 砥石だと? 砥石を何にすっだい? 仙太 刀を磨ぐのよ。刀あすぐに斬れなくなっからな、磨いじゃ斬り磨いじゃ斬りするのよ。 投六....