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「礼装〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

礼装の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
るのを葉子は気がついていた。ある時はそれが公使館の館員ででもあるかと思うような、礼装をしてみごとな馬車に乗った紳士である事もあり、ある時はズボンの折り目もつけな....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
灯が走って来た。変を聞き知った花婿が、家族と一緒に走って来たのである。 花婿は礼装で身を飾っていたが、地に仆れている花嫁を抱いた。が、あまりの恐ろしさに、抱い....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
音頭をとった。羽織袴の役人衆の後ろには大太鼓が続き、禰宜の松下千里も烏帽子直垂の礼装で馬にまたがりながらその行列の中にあった。 馬籠での祭礼復興と聞いて、泊ま....
安重根」より 著者:谷譲次
上俊彦、日本人居留民会会長河井松之助、満鉄代理店日満商会主、他二三。日露人すべて礼装。 一同が下手の車扉に向って立ち、無言で慎ましやかに待っているところへ、満鉄....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
むかって対|印度政策の欠陥を指摘し、とうの昔に日本で封切りされた映画に紳士淑女の礼装がいならび――これを要するにあらゆる感激・突発・殺倒・異常・躍動・偶然を極度....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
と人々の笑い声があった。私と彼女は、理髪師のようなつめたいにおいを発散させながら礼装の肩を較べた。私には固い洋襟が寒かった。 カフェ・ドュ・パリから音譜が走り....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
たった一人で出掛けました。初対面のこと故、服装なども失礼にならぬよう、日頃好みの礼装に、例の被衣を羽織ました。 ヅーッと何処までもつづく山路……大へん高い峠に....
遺恨」より 著者:坂口安吾
ングもあるでしょう。見栄坊の売り惜しみ屋だから、まだ相当のものがあるのよ。今どき礼装なんかいらないし、本だって焼けたと思えばいゝことよ。焼きもせず、本なんか持っ....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
お金ないのね。さっきの二千円も、あんたのお金じゃないでしょう」 「御説の通りさ。礼装乞食というんだな。電車賃まで北川君にオンブしているのさ」 「酔ッ払い!」 ....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
って迎えられたのは愉快でした。 日本服のいいことは、羽織袴や裾模様の着物が第一礼装として、立派に公式の席に用いられることであります。洋服であっては、夕食に招か....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
が出来ない。それは十一月三日、明治天皇の天長節で、恰度菊の盛りの頃にあった。私は礼装して式場に並ぶのが大好きだった。荘重なオルガンのクラシカルな音。女の子の美し....
決闘」より 著者:神西清
はいり横になったが、なかなか寝つかれなかった。 翌る日の朝、ちょうど祭日なので礼装をして肩章をつけ勲章をぶら下げたサモイレンコが、ナヂェージダの脈を見、舌を見....
火夫」より 著者:カフカフランツ
ちんと起こさせている力もその拳にこもっていた。 こうして敵が現われたわけだが、礼装を着てこだわりなく元気で、わきの下に帳簿を抱えている。おそらく火夫の賃金表と....
審判」より 著者:カフカフランツ
う洋服|箪笥のところまで押しもどされていたKは、叫んだ。「寝込みを襲っておいて、礼装して来いもあるもんか」 「なんと言おうとだめだ」と、監視人たちは言ったが、K....
流刑地で」より 著者:カフカフランツ
きものに思われるのだった。将校は、重そうな肩章をつけ、金モールを下げた窮屈そうな礼装の軍服に身を固めて、ひどく熱心にこの件を説明している。おまけに、話しながらも....