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秋の声
「秋の声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秋の声の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
九十九里付近一帯の村落に生い立ったものは、この波の音を直ちに春の音と感じている。
秋の声ということばがあるが、九十九里一帯の地には
秋の声はなくてただ春の音がある。....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
、ふらりふらりと城下の街に現れました。 秋!…… 秋!…… そぞろ、悲しい
秋の声! 秋の色! そうして秋の心! 颯々として背を吹きなでるその初秋のわびし....
「後庭」より 著者:宮本百合子
頭を振りたてて日かげのうす暗く水臭い流し元で食物をこね返して居る貧乏な婆の様だ。
秋の声を聞くと何よりも先に、バサリと散る思い切りの好い態度を続けて行かないのかい....
「おせん」より 著者:邦枝完二
す迷い蛍を、あれさ待ちなと、団扇で追い寄るしなやかな手も見られるであろうが、はや
秋の声聞く垣根の外には、朝日を受けた小葡萄の房が、漸く小豆大のかたちをつらねた影....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
行き行く夏野かな 朝霧や杭《くひせ》打つ音丁々たり 帛を裂く琵琶《びは》の流れや
秋の声 釣り上げし鱸《すずき》の巨口玉や吐く 三径の十歩に尽きて蓼《たで》の花 ....
「樹氷」より 著者:三好十郎
うそう》、病《やまい》あつかりき。 (二) 清渭の流れ水やせて むせぶ非常の
秋の声 夜は関山の風泣いて 暗《やみ》に迷うか、かりがねは ………… 第5回 ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
(四、米留盆の落陽(豪州) 耶水の源のあたりに牧野が平らかに広がり、五月の車窓に
秋の声をききとる。人影もなく落葉しきりの林間の道をゆけば、ただ牛羊のみが気ままに....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
つづれ、腕も胸もかさかさと、松皮のような撫で心地がする。 吹き落ちるような星、
秋の声。 一枚の莚を、宿として、武蔵はふと、 「何の愚ぞ」 と、自分の狂的な....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
くへなどは、この夜のこと、何一つ響いてはいない。 月もない二十四日の闇空、ただ
秋の声だけだった。 キキキ、キキ……と奥の木立から軋みめぐッてくる牛車の輪音に....