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「秋口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

秋口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
ろ」 「あら。あなたは別よ」 「別って、どない別や」 「カーテン閉めましょうね。秋口だから、川風がひえるわ」 窓の外は加茂の川原で、その向うに宮川町の青楼の灯....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
みこしを降ろしたのがちょうど四ツでした。――むろんのこと、両国は夏のものですが、秋口に見る水のふぜいというものもまたなかなかに捨てがたいもので、秋告鳥《あきつげ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
夕づりに出かけようよ。ざらにつれるさかなだから、みんな小バカにしているようだが、秋口のはぜのてり焼きときたら、川魚みたいでちょっとおつだぜ」 「でも、そんなのん....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
北町お番所の面々、半日《はんび》は数寄屋橋《すきやばし》南町お番所詰めの面々が、秋口のひと月間、一日おきにこのお馬場へやって来て、朝のうちの半刻《はんとき》ずつ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ですよ。ふとん一枚ねえんですよ。もう十日もたちゃ霜が降りようってえいうこの薄寒い秋口に、毎晩毎晩何を着て寝ていたんでしょうね。え? ちょいと。ね、だんな!」 ....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
続いて、そのまま沈没してしまった。しかし、まだ老朽船と云うほどでもない北海丸が、秋口の時化とは云え、何故そんなに激しい浸水に見舞われたのか、それは当の沈没船から....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
の夜は別に低気圧の予告もなかったのだが、夜中から始めてぼつぼつ降り出した。復一は秋口だけに、「さあ、ことだ」とベッドの中で脅えながら、何度も起き上ろうとしたが、....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
無沙汰アして何時も御繁昌と聞きましたが、文吉も上らんではならねえてえ云いますが、秋口は用が多いで参り損なって済まねえてえ噂ばかりで、お前さんも達者で」 七「まこ....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
の礫を投げて頂いて、手ン手に長棹の尖へ網を張りましたので、宙で受け留めまするが、秋口|蜻蛉の飛びますようでござります。橋の袂には、女房達が、ずらりと大地に並びま....
元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:井原西鶴
とう三条半を書いてやる。 まもなく後に菊酒屋と云う有名な酒屋にやった所がここも秋口から物やかましいといやがられたので又、ここも縁がないのだからしかたがないと云....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
んなふうに、でしょうか」 「それはあなたに用のないことです。あとは私が致します。秋口に、あなたが涼しい土地から戻ってきたとき、記代子さんも戻ってきています。です....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
きい」 「ええ、大きゅうございます」 「ところで、いつ頃から始まったんだ?」 「秋口からポツポツとね」 「どんな塩梅になくなるのだ?」 「どうもそれがマチマチで....
真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
れを口切りに、だんだん雨が多くなった。 こういう年は、いわゆる片降り片照りで、秋口になって雨が多いであろうという、老人たちの予言がまず当った方で、八月から九月....
歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
亀吉を見出したのであるが、若いに似合わず熱のある仕事振りが意にかなって、ついこの秋口、鶴喜から開板した「美人島田八景」に至るまで、その後の主立った版下は、殆ど亀....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、対岸の遠いポプラや白樺のかがやきを見入っていた。真夏とはいっても何かしら寂しい秋口の朝の光であった。まだ一行の誰もが来て休んではいなかった。 「姐さん、お茶は....