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秋景
「秋景〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秋景の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
とくるわの二時の拍子木がカチカチ鳴っていた。
(十月×日)
窓外は愁々とした
秋景色である。小さなバスケット一つに一切をたくして、私は興津《おきつ》行きの汽車....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
来着いた頃にはまた口をきき出して、また旧《もと》のお勢に立戻ッた。 上野公園の
秋景色、彼方此方《かなたこなた》にむらむらと立|駢《なら》ぶ老松奇檜《ろうしょう....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
か何かの画題のようなものに過ぎなくなり、芭蕉の有名な句でも「枯れ枝にからすのいる
秋景」になってしまうであろう。この、画題と俳句との相違はどこから生まれるかという....
「故郷の話」より 著者:宮本百合子
がはっきり反映しているし、又作家が季節につながった思い出として故郷の春や、故郷の
秋景色についてたずねられる場合も、なかなか少くない。 そういう時、私は自分に故....
「生前身後の事」より 著者:中里介山
か見えなかったので、あゝこれは見ない方がいいと我輩はそのままサッサと帰って京阪の
秋景色を探り木曾路から東京へ帰ってしまった、斯ういう態度は小生の方も少し穏かでな....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
い物を贈ってくだされた。九尺四方もあったであろうか、そういう石の台の上へ、山家の
秋景色を作ったもので、去年の中秋観月の夜に、私の所へまで届けられたが、山家の屋根....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
い気持のする文句でしょう?」 次郎は、ふと、自分の生れ故郷の、あの沢辺の晴れた
秋景色を想像した。そこには芦が密生していて、銀色の穂波がまばゆいように陽に光って....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
いるとくるわの二時の拍子木がカチカチ鳴っている。 十月×日 窓外は愁々とした
秋景色。 小さなバスケット一ツに一切をたくして、私は興津行きの汽車に乗る。 ....
「日記」より 著者:宮本百合子
さんのところから、清子さんが二十二日、神戸着と知らせて来た。 『女性日本人』に、
秋景を題して二三枚の短文を送る。 八月二十一日(火曜) 今年の秋は、不思議に、....
「アリゾナの女虎」より 著者:牧逸馬
者さんも、四人で鉄砲をかついで出掛けて行きました。アリゾナの沙漠も、もうすっかり
秋景色です。でも鹿は今年とても多いんですって。看護婦達も相談して、医務局の人達に....
「最初の出品画」より 著者:上村松園
一年中の最も盛んな夏季、それが過ぎ去ってやがて木々の葉がもの淋しく落ち散ってゆく
秋景色から、最後にすべての自然が深い眠りのなかに入ってゆく冬の季までのひと歳の移....
「雪の透く袖」より 著者:鈴木鼓村
北地方は既に厳霜凄風に搏たれて、ただ見る万山の紅葉は宛らに錦繍を列るが如く、到処
秋景惨憺として、蕭殺の気が四隣に充ちている候であった、殊にこの地は東北に師団を置....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
くたれこめ、旅宿の窓べにひとり座して昼なおさむざむとした思いをいだく。豪州の南の
秋景色はともあれいとおしむに足り、黄葉のなかばする庭には菊のひとむらがある。) ....