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秋海棠
「秋海棠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秋海棠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
だ十六、七の可憐《かれん》きわまりなき美少女でありました。さながら雨にぬれ沈んだ
秋海棠《しゅうかいどう》をみるがごとき可憐さで、もの思わしげにうち震えていたもの....
「行人」より 著者:夏目漱石
汚れていた。低い硝子戸越《ガラスどご》しには、これも自分の子供時代から忘れ得ない
秋海棠《しゅうかいどう》が、変らぬ年ごとの色を淋《さみ》しく見せていた。自分はこ....
「新生」より 著者:島崎藤村
な二人の寝像を思出した。あの古い御堂を囲繞《とりま》く鉄柵《てっさく》の中には、
秋海棠《しゅうかいどう》に似た草花が何かのしるしのようにいじらしく咲き乱れていた....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
梗、矢車草、風露草、金魚草、月見草、おいらん草、孔雀草、黄蜀葵、女郎花、男郎花、
秋海棠、水引、鶏頭、葉鶏頭、白粉、鳳仙花、紫苑、萩、芒、日まわり、姫日まわり、夏....
「家」より 著者:島崎藤村
夫婦を始め、正太、お仙まで、朝のうちに奥座敷へ集った。三吉も夏服に着更えて、最早
秋海棠などの咲出した裏庭を皆なと一緒に眺めながら、旅の脚絆を当てた。ここへ来がけ....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
がこもった。庫裡の玄関の前に、春は芍薬の咲く小さい花壇があったが、そこにそのころ
秋海棠の絵のようにかすかに紅を見せている。中庭の萩は今を盛りに咲き乱れた。 夜....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
数えるほどの花が白く開いている。 あゝ、そう思えば、あの戸袋の下の、壁際にある
秋海棠も、あの時持って来たのであった。先達て中|始終秋雨の降り朽ちているのに、後....
「運命のままに」より 著者:豊島与志雄
して私はすぐ彼女の室に通ることが出来た。 それは何時だったか今覚えていないが、
秋海棠の花が門をはいった片隅に咲いていたのでみると、十月頃のことであったに違いな....
「柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
べきことが来ることになった。将軍|家斉の眼に止まり、局へ納れられることになった。
秋海棠が後苑に咲き、松虫が籠の中で歌う季節、七夕月のある日のこと、葵紋付の女駕籠....
「おせん」より 著者:邦枝完二
あい。おはずかしゅうござんすが。……」 消えも入りたいおせんの風情は、庭に咲く
秋海棠が、なまめき落ちる姿をそのまま悩ましさに、面を袂におおい隠した。 じッと....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
。正面には女郎花が一番高く咲いて鶏頭はそれよりも少し低く五、六本散らばって居る。
秋海棠はなお衰えずにその梢を見せて居る。余は病気になって以来今朝ほど安らかな頭を....
「薬前薬後」より 著者:岡本綺堂
梗、矢車草、風露草、金魚草、月見草、おいらん草、孔雀草、黄蜀葵、女郎花、男郎花、
秋海棠、水引、※頭、白粉、鳳仙花、紫苑、萩、芒、日まわり、姫日まわり、夏菊と秋の....
「日を愛しむ」より 著者:外村繁
その数を増した。庭にはいかにも秋の花らしい、黄蜀葵の淡黄色の花が咲き続いている。
秋海棠も桜貝のような薄紅色の蕾を脹らませた。 あの颱風の日以来、日毎に、素子の....
「青い紐」より 著者:田中貢太郎
、それを中に二枚の蒲団が敷いてあった。むこうの左隅には小さな机があって、その上に
秋海棠のような微紅い草花の咲いた鉢を乗せてあるのが見えた。 「穢い処よ」 女は....
「それから」より 著者:夏目漱石
おしろいそう》が垣根の傍で花を着けた。手水鉢《ちょうずばち》の蔭《かげ》に生えた
秋海棠《しゅうかいどう》の葉が著るしく大きくなった。梅雨《つゆ》は漸く晴れて、昼....