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秋色
「秋色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秋色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
と云う明治四十三年の十一月中旬。
京都に着いて三日目に、高尾槇尾栂尾から嵐山の
秋色を愛ずべく、一同車を連ねて上京の姉の家を出た。堀川西陣をぬけて、坦々たる白土....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
合せたように一斉《いっせい》にパラパラと伏《ふさ》ッてしまう。満眸《まんぼう》の
秋色|蕭条《しょうじょう》として却々《なかなか》春のきおいに似るべくも無いが、シ....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
く見えてまいります、さすがに、野や山の美しさは――」
「そうかのう」
「対影楼の
秋色が思いだされます」
阿賀妻は眼をつぶってそう云った。そこで、この「殿――」....
「貸家探し」より 著者:林芙美子
とした。寺と云う寺の庭には山茶花《さざんか》の花がさかりだし、並木の木もいい色に
秋色をなしていた。広い通りへ出て川上音次郎《かわかみおとじろう》の銅像の処で少時....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
にあえぐ姿は、激しい時代相を裏付けているのである。 み簾さげて誰が妻ならん舟遊び
秋色 の歌麿の美人画にでもありそうな優美さ。 名月や乗物すゆる橋の上 星布女....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
くらの国の女流俳人はこの花をいかに観じ、いかにたたえているであろうか? 名高い
秋色桜の事をおもいうかべつつ、私は興味をもって、古今の俳書から少しばかり花の句を....
「西林図」より 著者:久生十蘭
の月の句会には、どうしても秀作をものしなくてはならない絶命にいた。察しるところ、
秋色の池の汀《みぎわ》で、鶴を掴《つか》まえるというような秀句がさきに出来てしま....
「蜜柑」より 著者:佐左木俊郎
いて、お美代は縁側に弥平爺を見送った。お婆さんは、額縁に嵌められた風景画のような
秋色の一隅を、ぼんやりと、潤んだ眼に映していた。 「ね、おめえも、早く帰んでえす....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
ればこそ陳※子《ちんこうし》の『秘伝花鏡《ひでんかきょう》』にも秋海棠の条下に「
秋色中ノ第一ト為ス――花ノ嬌冶柔媚、真ニ美人ノ粧ニ倦ムニ同ジ」と賞讃して書き「又....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
きながらサンルームに出た。勧められた安楽椅子にちょっと手をかけた景子は急に此庭の
秋色が見たくなって窓際へ近寄って行った。 中央の亭の柱にからんで、円錐形の萱葺....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
れるほどなれば、桜の枝も、墨絵のなかに蕾を含んで薄紅い。 「そこから見えますか、
秋色桜。」 「暗うて、よう見えへんけど……先度昼来ておそわった事があるよって、ど....
「尾瀬沼の四季」より 著者:平野長蔵
れば樹類と草種の区域を限定し、沼面の水草より変色し、黄色と赤色、紫色と種々の草の
秋色が劃然としている、その美観! 白樺の紅葉は全山一方里位、燧岳の紅葉は匍松《....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
を愛するもの決してこれを閑却《かんきゃく》する訳には行《ゆ》くまい。桜には上野の
秋色桜《しゅうしきざくら》、平川天神《ひらかわてんじん》の鬱金《うこん》の桜《さ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
これ輪船の起点なり。これより屈曲せる河流を下りてシドニーに着す。両岸の風光自然に
秋色を帯び、林間の瓦壁、黄葉と相映ずるところ、大いに吟賞するに足る。 一帯清流曲....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
紫にぬりつぶされて、秀麗な錫ヶ岳が西の天を限っていた。久振りで眺めた中禅寺湖畔の
秋色は矢張り勝れていると思った。 戦場ヶ原は秋正に闌である。東から北にかけての....