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秘仏
「秘仏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秘仏の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
》り殺してやるぞッ――だからね、どうぞして観音像の正体を見届け、もしも切支丹の御
秘仏だったら、御法度を楯に因縁つけて、大ッぴらに珠数屋の身代二十万両を巻きあげよ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いた仏像が自然にその形をあらわしたのであろう。自分にもよく判らないが、これは寺の
秘仏として大切に保管されているものであるらしい。なんでも遠い昔に異朝から渡来した....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いいから御戸帳の奥を覗かせてくれと交渉したが、善昌は頑として肯かなかった。本尊の
秘仏を厨子に納めて、何人にも直接に拝むことを許さない例は幾らもある。おまえ方のう....
「奇賊悲願」より 著者:海野十三
から森の中へ入っていった。 二十分ばかり経つと、森の奥から、背中にむしろ包みの
秘仏酒買の観世音菩薩の木像をしばりつけた貫一の姿が現われた。これは至極やさしい窃....
「露肆」より 著者:泉鏡花
を小さく、風除けに、葛籠を押立てて、天窓から、その尻まですっぽりと安置に及んで、
秘仏はどうだ、と達磨を極めて、寂寞として定に入る。 「や、こいつア洒落てら。」 ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
かな、古色を帯びた観世音の仏像一体。 「これには弱ったんだ、清全寺ッて言う巨寺の
秘仏だっさ。去年の夏頃開帳があって、これを何だ、本堂の真中へ持出して大変な騒ぎを....
「大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
みたりしていた。 僕は漸《ようや》く心がしずかになってから夢殿のなかへはいり、
秘仏を拝し、そこを出ると、再び板がこいの傍をとおって、いかにも虔《つつ》ましげに....
「「沈黙」の話」より 著者:豊島与志雄
紹介しよう。 印度の奥、ネパール地方のヒマラヤ山間の僻地に、洞窟内に祭られてる
秘仏がある。人里離れた場所ではあるが、屡々若い男女の参詣者があり、往々、年老いた....
「飛騨の顔」より 著者:坂口安吾
。ふだん見せてくれないものがヒダには多いのである。そして、そのなかには他の土地の
秘仏とケタの違う作品がある筈だと私は見当をつけているからだ。 大昔からヒダの大....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
市に浅草の観音様、一寸八分の御本尊の開帳があるという。人に見せたことがないという
秘仏を、所もあろうに、浅草ならぬ静岡で開帳するというのが珍であるから、そこは巷談....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
も仏像を刻めば大そうなミイリになる。泥づけにして、千年前、六百年前、何々寺の尊だ
秘仏だと巧みに売りさばくのである。 たまたま旅先で箕作りのベク助の器用な腕に目....
「回想録」より 著者:高村光太郎
封じて了わなければならぬという気持が坊さんの間に起ったのだと思う。その為にただの
秘仏ではなく、御身躯を布でぐるぐる巻きにして封じて了った。その位あの御仏の製作は....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
半跏像の如き一聯の神品は、悉く皆日本美の淵源としての性質を備えている。殊に夢殿の
秘仏救世観世音像に至っては、限りなき太子讃仰の念と、太子|薨去に対する万感をこめ....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
師寺についてはかつて木下杢太郎にあててこう書いたことがある。 「彫刻では、夢殿の
秘仏が見られなかったのは止むを得ないとして、薬師寺東院堂の聖観音が、名前さえ挙げ....