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稀薄
「稀薄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稀薄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「片信」より 著者:有島武郎
に対する反抗の気勢にすぎないのだと。それはおそらくはそうだろう。それにしてもより
稀薄に支配階級の血を伝えた私生児中にかかる気勢が見えはじめたことは、大勢の赴《お....
「星座」より 著者:有島武郎
している農政の講義などは、一日引籠って読書すれば、半月分の講義の材料ができるほど
稀薄《きはく》なものだった。自然科学の研究なども、プレパラートと見取り図とを作る....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
は謂わばお前の皮膚を包む皮膚のようになっている。お前の個性は分化拡張して、しかも
稀薄な内容になって、中心から外部へ散漫に流出してしまった。だからお前が、私を出し....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
注意すべき点である。その理由は雰囲気の比重が小さいからだというのである。しかして
稀薄な雰囲気が冷却作用をもつことを、スウェデンボルクは、高山では、たとえ熱帯地で....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
の通路があたかも杉並辺の上空にあたり、下町方面へ進行するにしたがって雷雲も次第に
稀薄になるように思われる。但し俗に「北鳴り」と称して、日光方面から押し込んで来る....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
斯を発散させ、それに火を点じました。御承知のとおり、腐敗瓦斯には沼気のような熱の
稀薄な可燃性のものが多量にあるのですから、その燐光が、月光で穴の縁に作られている....
「火星探険」より 著者:海野十三
上ではない。勝手のわからない火星の上だ。気候、風土の違った火星の上である。空気も
稀薄だ。重力もたいへん違っている。温度も激しく変る住みにくい土地だ。更に、火星に....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
告していた――というような事実が発見されるなら、旗田鶴彌殺害事件なるものは著しく
稀薄になるんだ。しかし反対に、旗田氏が心臓麻痺などを起すような病体でなかったとい....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
はあいかわらず、じっとしていられない男だな。しかし成層圏へ上ったら、空気と圧力が
稀薄になるから、児玉も自然猫のようにおとなしくなるだろう」 成層圏征服 ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の御理解が充分でないと、地上に人類の発生した径路がよくお判りにならぬと存じます。
稀薄で、清浄で、殆んど有るか無きかの、光の凝塊と申上げてよいようなお形態をお有ち....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
とが苦力の車を突きぬけて通ったことである。苦力も車もその形はみえながら、あたかも
稀薄なる空気に過ぎないようであった。 「どうしたというんです」と、キッティは叫ん....
「成層圏飛行と私のメモ」より 著者:海野十三
トル以上五十五キロ以下の空中をいうのである。この成層圏の性質は、もちろん、空気は
稀薄であり、水蒸気は殆どなく、温度も摂氏の氷点下五十何度という寒冷さにおかれ高層....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
兵衛武勇談はややもすれば伏姫|霊験記になる。他の犬士の物語と比べて人間味が著しく
稀薄であるが、殊に京都の物語は巽風・於菟子の一節を除いては極めて空虚な少年武勇伝....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
かくの如き態度は厳粛な文学に対する冒涜であると思い、同時に私のような貧しい思想と
稀薄な信念のものが遊戯的に文学を語るを空恐ろしく思った。 同時に私は二葉亭を憶....
「芸術は生動す」より 著者:小川未明
先をいろ/\に換えて其の間に、驚異と人情とを印象させるようにするけれど、もとより
稀薄たるを免れない。しばらくは忘れることの出来ぬようなものであってもやがては忘れ....