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稔
「稔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
宿《とま》りごとに更けて、雑木の森には櫨《はじ》赤く爛《ただ》れ、野には稲黄色く
稔り、農家の軒には、この辺の名物の柿が真紅の珠を連ねていた。 それは八月に入っ....
「栗の花の咲くころ」より 著者:佐左木俊郎
痩せても枯れても庄屋の家だぞ。考えても見ろ! 何百人という人間を髭を捻《ひね》り
稔り顎《あご》で使って来てる大請負師《おおうけおいし》だぞ。何は無くっても家柄《....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
とて船材に斧を入るることもなかりき。 静かに平和に世はおさまりて 土はその収穫を
稔れよと 鶴嘴と鋤とに打砕かるることもなかりき。 (注) この後に来たのが白銀....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
当然若い二人は、相携えて甘い夢を追い求める……けれども、やがて彼女の身に愛の実の
稔るころには、おとこの心は船に乗って、遠い国へ旅立つ……そしてひとすじの心を偽ら....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
字の配列がG・Yとなる男が乗組員の中に何人あるか調べて貰った。すると事務長の八木
稔と言うのと、この水夫長の矢島五郎君の二人だ。ところが、事務長の八木
稔の方はもう....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
辺なる早田は苅らじ霜は零るとも 〔巻十・二二二〇〕 作者不詳 早稲田だからもう
稔っているのだが、牡鹿が妻喚ぶのをあわれに思って、それを驚かすに忍びないという歌....
「水の女」より 著者:折口信夫
いては、別に言うおりもあろう。ただ、木の花の散ることの遅速によって、稲の花および
稔りの前兆と考え、できるだけ躊躇わせようとしたのが、意義を変じて、田には稲虫のつ....
「位牌田」より 著者:田中貢太郎
田を耕して稲を植えた。そして、熱心に莠を除ったり肥料をやったりしたので、稲はよく
稔った。 老人はそれを見て、村の人たちを笑っていた。 秋の収穫が目前に迫った....
「食べもの」より 著者:佐藤垢石
岡場とも称した。岡場に対して私の村の方は米を産するから田場と称するのである。米の
稔らぬ岡場に対し、米を産する田場の者は、子供までが優越感を持っていたのだ。つまり....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
、恋々となったのである。 そのころ本郷の高台と田端道観山を隔てる谷には、黄色く
稔った稲田が遠く長く続いていて南方を眺めると根津の権現さままで、見通せたのである....
「季節の味」より 著者:佐藤垢石
を持っているであろうか。 物の盛期、必ずしも味の季節でないことは分かっている。
稔熟の候を味の季節とし、他に多少の例外を求めることができるが、動物に至ってはいわ....
「たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
読してなんとなく、一抹の虚寂を感じた。と、いうのは猪の身の上のことである。団栗の
稔りの秋に、小学生が大挙して山野を跋渉すれば、猪群は忽ち食料難に陥るだろう。 ....
「画道と女性」より 著者:上村松園
、今はやめて謡曲だけ続けている。月に四回、金剛流の師匠に来て貰って、松篁と嫁の多
稔子と私と三人で稽古を続けている。私にはどうも絵以外のことだと、専門外の余技だと....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
仕事に助けを与えて下さるように願いいたします。あなたの貴い学問上のお仕事に豊かな
稔りのあるように祈っています。京都へは時々出る気ですからその時は寄せてもらいます....
「えぞおばけ列伝」より 著者:作者不詳
はこうだった.アイヌでは,畑に種子を播くのに,シギの卵を潰してそれに浸して播くと
稔りがいいという俗信があるので酋長の妻はわざわざシギの卵を捜してきて,それにアワ....