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稚い
「稚い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稚いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、いずれもその愛人の帰途を迎えて、夜釣をしながら海上を戻る計画。 小児たち、幼
稚いのは、傅、乳母など、一群に、今日は別荘に残った次第。すでに前にも言ったように....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
じさんが潜んでいるらしいことは、叔父の口ぶりに因ってほぼ想像されたので、わたしの
稚い好奇心はとうとう私を促してKのおじさんのところへ奔らせた。わたしはその時まだ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
、十一、二の男の児を持っていた。美しい娘も老いておもかげが変ったのであろう、私の
稚い眼には格別の美人とも見えなかった。店の入口には小さい庭があって、飛び石伝いに....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
い信濃金梅の盛に団簇したところは、外の高山では、見たことがない。 白樺の痩せた
稚い樹が出て来て、その中から山桜の花が、雪のように咲いている、四月の色は北岳の北....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ではいられなかったのである。私は私の実際生活の上に落ちかかったこの大問題に貧しい
稚い思想をもって面接することを、どんなに心細くもおぼつかなくも思ったであろう。苦....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
十年、十年が一昔、ざっと二昔も前になるです、九歳の年の夏。」 「まあ、そんなにお
稚い時。」 「尤も一人じゃなかったです。さる人に連れられて来たですが、始め家を迷....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
では身も世も忘れて、まあ、私を懐しがって、迷って恋におなりなすった。 その唄は
稚い時、この方の母さんから、口移しに教わって、私は今も、覚えている。 こうまで....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
多けれど、貴方がたのこの二条ほど、験のあったは外にはないやろ。私かて、親はなし、
稚い時から勤をした、辛い事、悲しい事、口惜しい事、恋しい事、」 と懐手のまま、....
「握った手」より 著者:坂口安吾
ことを知らずに彼を待っていたなら、それはたぶん彼女の心がその素顔と同じようにまだ
稚いせいだろう。彼女は書斎の恋愛心理に通じていても、実地の真剣勝負にはうといので....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
、相手の注意がこちらに向いて、ついに熱烈な相思の仲になることもあるものだ。先方が
稚い娘であるときにそうしたことがある。が、それにはよほどの熱誠と忍耐とがいるもの....
「兄妹」より 著者:岡本かの子
の彼処に声を落し、太陽が赫く森の向うに残紅をとどめていた。森の樹々は、まだ短くて
稚い芽を、ぱらぱらに立てていた。風がすこし寒くなって来た。 東京市内から郊外へ....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
、ばけものは、人の慾に憑いて邪心を追って来たので、優い婦は幻影ばかり。道具屋は、
稚いのを憐れがって、嘘で庇ってくれたのであろうも知れない。――思出すたびに空恐ろ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
い。 表入口を、松原|越の南の町並に受けて、小高く、ここに能楽堂がある。八郎は
稚い時、よく出入をして知っているので、その六方石を私に教えようとして、弾かれたよ....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
ことで、十一、二の男の児を持っていた。美しい娘も老いて俤が変ったのであろう。私の
稚い眼には格別の美人とも見えなかった。店の入口には小さい庭があって、飛石伝いに奥....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
、爛熟した生活感情を咀嚼してまで、老大国の文学を机辺の風雅とすることは、あまりに
稚い民族には、いまだ興り得ない、精神の放蕩であった。私どもの祖先が、日本語の歌と....