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稚拙
「稚拙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稚拙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
代った。 オヴィドの宇宙開闢説はヘシオドのといくらも違ったところはない。本来の
稚拙な味は大部分失われ、そしてこれに代わって、実用的なローマ人の思考過程にふさわ....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
発表された。 いくつかの送別の手紙の中に、見知らぬ女名前の手紙があった。展くと
稚拙な文字でこう書いてあった。 奥さま。かの子は、もうかの子でなくなっています。....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
いるのが、そういう性能のきわめて乏しい洋橙ときているんだ。ねえ、熊城君、それほど
稚拙もはなはだしい手段が、どうしてこんな魔法のような効果を収めたのだろうか。何故....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
しまったであろうかも知れないと私はひそかに考えている。 あるいは童心と無邪気と
稚拙とによって描く事がいい事だと、誰れかが、あるいは電報通信社からか、通知があっ....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
った、という事は当然であろう。 その他南洋土人の原始的作品や名もない処の画家の
稚拙が賞玩され、素人画が賞味され、技法の上に取り入れられたりした事も当然の事であ....
「白痴」より 著者:坂口安吾
て、俺の肩にすがりついてくるがいい。分ったね」女はごくんと頷いた。 その頷きは
稚拙であったが、伊沢は感動のために狂いそうになるのであった。ああ、長い長い幾たび....
「推理小説について」より 著者:坂口安吾
章の練達が欲しいと思う。文学のジャンルの種々ある中で、探偵小説の文章が一般に最も
稚拙だ。 呪われたる何々とか怖ろしい何々とか、やたらに文章の上で凄がるから読み....
「裏切り」より 著者:坂口安吾
いますし、運命もつきかけてると見ているらしく、ピストルのいじり方にも昔とちがって
稚拙なところがありません。彼の手中のピストルの威力がなんとなく充実して感ぜられ、....
「光は影を」より 著者:岸田国士
が急に明るく彼の眼にうつつた。彼は、今さらのように部屋のなかを見廻した。床には、
稚拙な南画風の軸がかゝり、紅梅の枝が月並に生けてある。ナゲシに眼をあげると、そこ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
さんの多くが今春初舞台の少女たちだそうだ。使い方が巧みだから、ヘタが目立つような
稚拙な構成は見られない。今年の一年生は三十一名でABC三組にわかれ、一週の授業は....
「人間山中貞雄」より 著者:伊丹万作
かでも作品に人間が現われるものならば、彼の作品はもう少し重厚でなければならない。
稚拙でなければならない。素朴でなければならない。もう少し肉太でなければならない。....
「フランス料理について」より 著者:北大路魯山人
のである。しかし、なにかと飾り立てているようなものもないではないが、それが総じて
稚拙であり、いわゆる児戯に等しいものであった。まことに意外であった。 「味覚」の....
「良寛様の書」より 著者:北大路魯山人
力説するものである。良寛様の書において今一つ注目されることは、童児の手習いに見る
稚拙そのものの含有である。 無邪気な子供の手になる手習、それは必ず良寛様の関心....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
な暗い感じに、彼はある親味と共鳴とを感じたのでもあろうが、それがひどく欠陥のある
稚拙な彼の文章から、自分にそうした曖昧な印象を与えたものであろうと思われたが、そ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
来た。オロチョン人の手製に成った馴鹿の鞣の鞄や、財布――それは太い色糸で不細工に
稚拙に装飾してあった――白樺の皮鍋、アイヌの厚司模様のついた菅の手提げ、それに玩....