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「稚気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

稚気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
橡の花」より 著者:梶井基次郎
は大いに笑いました。私の眼の前にはその光景がありありと浮びました。人のいい驢馬の稚気に富んだ尾籠《びろう》、そしてその尾籠の犠牲になった子供の可愛い困惑。それは....
富士」より 著者:岡本かの子
執着は、峯のしら雪に消え痕ともなって自形《じぎょう》の人型をとどめられた。それは稚気と、未練であるでもあろう。それゆえ、ふた親は自分に秘して語らない。しかし部落....
」より 著者:岡本かの子
こういう男達は見なれて、その男たちを通して世の中を頃あいでこだわらない、いささか稚気のあるものに感じて来ていた。 女学校時代に、鮨屋の娘ということが、いくらか....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
小なるものの偉大を見のがしがちである。一般の西洋人は、茶の湯を見て、東洋の珍奇、稚気をなしている千百の奇癖のまたの例に過ぎないと思って、袖の下で笑っているであろ....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
あって、死ぬには、まだ生命力があり過ぎる。さればといって、神や天上の人になるには稚気があって生活に未練を持つ。そういう生きものが、この世界のところどころに悠々と....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
矩男はナポレオンの晩年の悲運を思わせる、か細く丸く尖った顎を内へ引いて苦笑した。稚気を帯びた糸切歯の根元に細い金冠が嵌っている。かの女は急に規矩男が不憫で堪らな....
小田原陣」より 著者:菊池寛
ら、見物の庶民は三条河原から大津辺迄桟敷を掛けて見送ったと云う。 こんな一種の稚気にも、如何にも秀吉らしい豪快さがあって、鎖国時代以後のいじけた将軍の行列なん....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
人回転刀に掛って、愛人のためとはいえ犯した罪を清算した。 なお、この上、古神の稚気漫々たる謎遊びを覗いてみたい人は、業平のあの歌の上の句の中から、この物語の登....
ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
のたびに群ってくる警官の群を翻弄して見せて得意になっておりました。みんなは、その稚気を、かなり大まかな心持ちで、笑話の種にしていました。 が、彼は大真面目でし....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
して、供物をした、二つ折の懐紙を視た。備えたのはビスケットである。これはいささか稚気を帯びた。が、にれぜん河のほとり、菩提樹の蔭に、釈尊にはじめて捧げたものは何....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
話でも、紅玉、緑宝玉だと取次|栄がするが、何分焼芋はあやまる。安っぽいばかりか、稚気が過ぎよう。近頃は作者|夥間も、ひとりぎめに偉くなって、割前の宴会の座敷でな....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
げてさげすみながら言った。 阿Qは近頃割合に人の尊敬を受け、自分もいささか高慢稚気になっているが、いつもやり合う人達の面を見ると、やはり心が怯れてしまう。とこ....
兄妹」より 著者:岡本かの子
端を揉み始めた。 ――あら、兄様、タバコ吸い始めたの。 ――ああ。 兄は、まだ稚気の抜け切らぬ愛らしく淋しい青年の顔を妹の方へ向けて笑った。 正午、日はうら....
我楽多玩具」より 著者:岡本綺堂
私は玩具が好です、幾歳になっても稚気を脱しない故かも知れませんが、今でも玩具屋の前を真直には通り切れません、とも....
昆布とろ」より 著者:北大路魯山人
種の型のあるものであって、ちょっといなせなところがあり、気取ったところがあって、稚気があり、童心に満ち、愛すべきところのものであるが、やはり、これもまだ「若い」....