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「稟質〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

稟質の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
縮図」より 著者:徳田秋声
いたり、少年時代に感奮させられた聖賢の書を引っ張り出したりするのだったが、本来|稟質が薄く、深く沈潜することができないせいもあって、それらの書物も言葉や文章は面....
「迷いの末は」」より 著者:宮本百合子
は、その文学的出発の当初から、現実の或る面に対しては敏感であったが、その敏感さの稟質は、一箇の芸術家として現実を全面から丸彫にしてやろうという情熱において現れず....
プロ文学の中間報告」より 著者:宮本百合子
的に健全にとりあげられてはいたが、個々の作家の生活感情の中へまで、新時代の作家的稟質となってとけこんでいるとはいえない実際である。今日の社会事情は、これらの問題....
今日の文学の展望」より 著者:宮本百合子
等は、この作者がロマンチストとしての抒情性と社会に対する自然主義的立場とを作家的稟質、社会所属の本質、過去の全閲歴の蓄積として一身に具現している興味ある見ものな....
「土」と当時の写実文学」より 著者:宮本百合子
頃書かれている虚子の有名な「風流懺法」等と比べると農村生活に深い根をもつ節独特の稟質がうかがわれるのである。 写生文派は写実主義文学にうつり、今日現実を更にそ....
文学の流れ」より 著者:宮本百合子
、人間の文化の今日までの成果に立っての強靭なる判断力、推理力が、益々作家に必要な稟質となって来ている。このような点では、科学の発展のヒントをつかむ人間精神の活動....
十月の文芸時評」より 著者:宮本百合子
年月がはげしい社会的起伏をもって、この「小さき歩み」との間に推移したのであった。稟質的には相当激しいものを持ちつつどちらかというと主観的な題材やテーマの作品を書....
落ちたままのネジ」より 著者:宮本百合子
イルを試しているようなのが面白かった。流行の説話体というものは、或る独特な作家的稟質にとってだけ、真にそのひとの云おうとすることを云わしめるもので、多くの他の気....
婦人と文学」より 著者:宮本百合子
の彼女のその心理の必然につながった作品であろう。 小寺菊子は、婦人作家としての稟質とすれば、水野仙子よりももっと普通の意味で現実性のつよい作家である。現実の環....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
て造りあげようとする一方、白粉《おしろい》をつけて、しなしなしたがるような女性的稟質男子《おんなのようなおとこのこ》を、鉄砲をかつがせたり調練をさせたりして、此....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
発展の段階は生涯のうちに幾つ自覚されるものであるか、それは人によって、又その人の稟質《ひんしつ》の豊富さによるのであろうが、私などはこの頃になって小説というもの....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
うな人生の美感はあまり強くて、それを芸術家魂で支えるには、よほど素晴らしい芸術的稟質が必要であるから。おわかりになるでしょう? ユリがこのような人間的豊饒さへ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
きには、よむ心の主観的な感動と愛着とを先に立てて居りましたが、今はもっとちゃんと稟質としてそこにあるもの、そこから成育して来たものをくみとることが出来て、感じる....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
美のカテゴリイの問題ではなかったのね。面白いことは、漱石が作家的、また人間らしい稟質の高さから、この作品の意に満たないところを直感しながら、その不満の拠りどころ....
チェーホフ試論」より 著者:神西清
ずしもいわゆる八〇年代の空気から生れたものでないこと、むしろ殆ど彼の持って生れた稟質によるものであることを、ほぼつきとめたように思う。笑いの問題になると、これは....