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稠密
「稠密〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稠密の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「深夜の市長」より 著者:海野十三
数の人しか知らない不思議な都市である。面積や道具だての宏大な割に人口がきわめて不
稠密な点からいうと、沙漠の上に捨てられてある廃都にも似かよっていたが、その魅惑的....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
納言家の城下であって、江戸、大阪、京都を抜かしては、規模の広大、輪奐の美、人口の
稠密比べるものがない。その大都が夕陽の下に、昼の活動から夜の活動へ入り込もうとし....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
がごく弱かったけれども、そして無用心なことではあったけれども、彼は朝早く、人口|
稠密《ちゅうみつ》な街路から群集の波が遠くの仕事場へ流れ出すころ、または夕方、そ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
寨《ぼうさい》の上に落ちかかった。赤旗は倒れた。そのいっせい射撃はきわめて猛烈で
稠密《ちゅうみつ》であって、赤旗の竿《さお》、すなわち乗り合い馬車の轅《ながえ》....
「臨時急行列車の紛失」より 著者:新青年編輯局
ぎて行った。六月の午後の真昼間だというに、そして所はといえば、英国きっての人口の
稠密な地方だというに一列車が乗客を載せたまま、熟練な化学実験の大家が空々たる瓦斯....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
障子|襖を其所へ捨て逃げ去りしなりというに、東京という所の凄じさ、白昼といい人家
稠密といい、人々見合う中にて人の物を掠め去らんとする者あり。肌へ着けたりとて油断....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
ものだけ出せ」というので、荷物を運び出しました。 荷物を運ぶといっても、人家|
稠密の場所とて、まず駒形堂|辺へ持って行くほかに道はない。手当り次第に物を持って....
「魔都」より 著者:久生十蘭
へは入らない。なぜかといえば、考えて御覧なさい、われわれの日本家屋で、しかもこの
稠密な東京市内では絶対に抜け出せない家屋などは一軒もないからである。日本の家屋は....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
やった。 一同はそこから西へ西へとすすんだ。このへんの森はだちょうの森のように
稠密ではないが、そのかわりに見るかぎり野草がはえしげって、日の光がまともに照りつ....
「明治時代の湯屋」より 著者:岡本綺堂
である。武家でも旗本屋敷は格別、普通の武士は町の湯屋へゆく。殊に下町のような人家
稠密の場所では内風呂を禁じられていたので、大家と云われるほどの商家の主人でも、大....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
郡《とよたまごおり》に属し近き頃まで杜鵑花《つつじ》の名所であったが、年々人家|
稠密《ちゅうみつ》していわゆる郊外の新開町《しんかいまち》となったにかかわらず、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
雑踏、船舶の群集するは、前者の南米第一と称せらるるところなり。家屋の壮大、人口の
稠密も、前者は後者をしのぐ。その人口最近の調査によるに、百二十四万六千五百三十二....
「馬の顔」より 著者:田中貢太郎
た。坂の下は黒暗暗として何も見えなかった。生垣があり※駝師の植木があって、人家は
稠密と云うほどでもないが、それでもかなり人家があるので、燈の一つも見えないと云う....
「戦争ジャーナリスト論」より 著者:戸坂潤
性を失って来る。非常時、準戦時、戦時、等々の、常態から異常態への推移の段階は段々
稠密となり遂に連続した一本の糸となって来ることは、人の知る通りである。 さて処....
「歌う白骨」より 著者:妹尾アキ夫
尾に追いやった。そしてノースフリートの煙突、グレーヴセンドの押し重なる屋根、人口
稠密の投錨所や、見えかくれにうずくまる砲台を後にしてローワーホープを出ると、しだ....