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種紙
「種紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
種紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
が言った。 同じ士族屋敷風の建物でも、これはいくらか後で出来たものらしく、蚕の
種紙をあきなう町の商人の所有《もちもの》に成っていた。高瀬はすこしばかりの畠の地....
「日は輝けり」より 著者:宮本百合子
痲※するような心持がした。グラグラとして真黒になった心の前で、ちょうど覗き眼鏡の
種紙が、カタリといってかえる通りに、今まで自分の前一杯にあった、幅の広い何物かが....
「旅愁」より 著者:横光利一
当然のことで別に怪しむに足りぬことだと思った。眼に見えぬ光線を透されたのは写真の
種紙ばかりではない。この部屋に集っている東洋人の頭の中の
種紙も、誰も一様にある光....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
の区別は、一切の事物をその個々の場合々々の粒子が並列している処の、何か一枚きりの
種紙の平面の上では、与えられることは出来ず又与えられてはならない。二つのものの区....
「雪の武石峠」より 著者:別所梅之助
かった。 M君が、「あああすこに人がいる」という。それが、ここで蚕《かいこ》の
種紙をまもっている番人の爺さんだった。柴をくべ、もって来た餅を焼いてたべる。「お....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
覧せざるべからざるもの也《なり》。ゴンクウルの言《げん》を借りていへば、あたかも
種紙《たねがみ》の面《おもて》に蛾《が》の卵を産み落し行くが如く、筆にまかせて千....