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稲
「稲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
動かして、いっそう騒然と、立ちのぼった。
沙金《しゃきん》は、月を仰ぎながら、
稲妻のごとく眉《まゆ》を動かした。
「しかたがないわね。じゃ、わたしたちだけ帰り....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
で井戸の水が腥《なまぐさ》い血潮に変ったものもございますし、持《も》ち田《だ》の
稲を一夜《いちや》の中に蝗《いなむし》が食ってしまったものもございますが、あの白....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
私の邪推ばかりだったでしょうか。とにかく私はこの短い応答の間に、彼等二人の平生が
稲妻のように閃くのを、感じない訳には行かなかったのです。今思えばあれは私にとって....
「河童」より 著者:芥川竜之介
思い出しました。それから、――それから先のことは覚えていません。僕はただ目の前に
稲妻《いなずま》に似たものを感じたぎり、いつの間《ま》にか正気《しょうき》を失っ....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
御話しますが。――」
この麻利耶観音は、私の手にはいる以前、新潟県のある町の
稲見《いなみ》と云う素封家《そほうか》にあったのです。勿論|骨董《こっとう》とし....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
またお時儀などをしてしまったのであろう? あのお時儀は全然反射的である。ぴかりと
稲妻《いなづま》の光る途端に瞬《またた》きをするのも同じことである。すると意志の....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
人は子供心にも大砲《おおづつ》よりは大きいと思ったと言うことです。同時にまた顔は
稲川《いながわ》にそっくりだと思ったと言うことです。
半之丞は誰に聞いて見ても....
「竜」より 著者:芥川竜之介
ではございませんか。のみならず神鳴《かみなり》も急に凄じく鳴りはためいて、絶えず
稲妻《いなずま》が梭《おさ》のように飛びちがうのでございます。それが一度鍵の手に....
「白」より 著者:芥川竜之介
、危く轢死《れきし》を遂《と》げようとした。その時|逞《たくま》しい黒犬が一匹、
稲妻《いなずま》のように踏切へ飛びこみ、目前に迫《せま》った列車の車輪から、見事....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
》の天のように、渦巻く疑惑の雲を裂《さ》いて、憤怒《ふんぬ》と嫉妬《しっと》との
稲妻が、絶え間なく閃《ひらめ》き飛んでいた。彼を欺《あざむ》いたのはあの娘であろ....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
、発作が止んで、前よりも一層幽鬱な心が重く頭を圧して来ると、時としてこの怖れが、
稲妻のように、己《おのれ》を脅《おびや》かすのを意識した。そうして、同時にまた、....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ほど、男らしく云い切りました。その間も雷はいよいよ烈しくなって、昼ながらも大幅な
稲妻が、ほとんど絶え間なく滝のような雨をはたいていましたが、お敏はもうその悲しさ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
すると一陣の風が吹き起って、墨のような黒雲が一面にあたりをとざすや否や、うす紫の
稲妻がやにわに闇を二つに裂いて、凄じく雷が鳴り出しました。いや、雷ばかりではあり....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
広い平原になって、そこから城下の方まで、十里四方の水田がひろがって、田には黄金の
稲が一杯に実っていました。 「伊作の足あ、なんて早いんだべい!」 と多助は太郎右....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
供を連れたお婆あさんが二人曇天の大川を眺めながら、花見か何かにでも来ているように
稲荷ずしを食べて話し合っていた。 本所会館の隣にあるのは建築中の同愛病院である....