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稼ぐ
「稼ぐ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稼ぐの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
くれないので、彼はひどく失望した。一日根気よく呼びあるいても、彼は京の町で一文も
稼ぐことは出来なかった。 九月はじめの秋の日は吹き消すようにあわただしく暮れか....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
それこそお茶人か、よっぽど後生のよいお客でなければ、とても乗ってはくれませんで、
稼ぐに追い着く貧乏なしとはいいまするが、どうしていくら稼いでもその日を越すことが....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
目に懸りまする、いかがでごわりまするか、ますます御翻訳で、とさぞ食うに困って切々
稼ぐだろう、と謂わないばかりな言を、けろりとして世辞に云って、衣兜から御殿持の煙....
「海異記」より 著者:泉鏡花
を見返り、 「もっと町の方へ引越して、軒へ瓦斯燈でも点けるだよ、兄哥もそれだから
稼ぐんだ。」 「いいえ、私ゃ、何も今のくらしにどうこうと不足をいうんじゃないんだ....
「地中魔」より 著者:海野十三
強盗紳士だ。彼は下町の大きい機械工場に働いていた技師だが、いつからともなく強盗を
稼ぐようになっていた。頭がいいので、やることにソツがなく、ことに得意な機械の知識....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
めであるとしても、十九や二十の息子を、親の手から振り放って、他人の雇傭の鞭の下で
稼ぐ姿を、よくも、黙って見ていられるものである。それで自分はしゃれたピジャマでも....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
読んで会員の一人である掏摸与太郎は慨歎した。「するてえと、電車の中で五百円紙幣を
稼ぐためには、おいらは背中にチョコレートの入った大きな包を背負って電車に乗込まな....
「火星探険」より 著者:海野十三
ゃないか。野菜でも缶詰でも手に入ればいいんだろう……」 「ネッド、ちょっと待て。
稼ぐ稼ぐというが僕たちがどうして稼げるだろうか。グルトンの村にいれば、知っている....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
計の趣向を変えつ。すなわち先のごとくにして軒ごとを見舞いあるき、怜悧に米塩の料を
稼ぐなりけり。 渠は常にものいわず、極めて生真面目にして、人のその笑えるをだに....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
も夜目がねぇ、へえ、そうでございますかい。じゃあ矢張、お稼ぎになるんですね」 「
稼ぐとは何を」 「へへへへ」 「何を
稼ぐと申すのか」 「なに、ちょっと、その」 ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
る風流人には、此奴あてつけに意地の悪いほど、とっとっと行く。そうでしょう、駄賃を
稼ぐための職業婦人が聾の坊さんの杖つきのの字に附合っていられる筈はない。喘ぎ喘ぎ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
聞かせないんだよ。)ッて言いましたぜ、先生、御存じじゃありませんか、年増で縁日を
稼ぐ癖に、好い女でさ。」 ここに愛吉が金之助に話したことは、ちょうど二年前、一....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
みると、恐入るの門なりだ。 実際また我ながらお怠け遊ばす、婆どんの居た内はまだ
稼ぐ気もあったもんだが、もう叶わねえ。 人間色気と食気が無くなっちゃあ働けねえ....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
ツ一枚の蟷螂みたいな痩せぎすな恰好はたしかに秀治にちがいなかつた。 「おー、よく
稼ぐな」 内地にたどりついて最初の身近な人間の姿であつた。思わず胸が迫つて来て....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
たのか?」 「大分あったらしいんですが、借金があってその方に引かれてしまうので、
稼ぐ張り合いがないと近所の者にこぼしていたそうです。何でも子供が大病して、その時....