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「穴蔵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

穴蔵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
るものに美しい町は一つもなかった。美しい家も一つもなかった。殊に彼の家のまわりは穴蔵大工だの駄菓子屋だの古道具屋だのばかりだった。それ等の家々に面した道も泥濘の....
ゼラール中尉」より 著者:菊池寛
しまった。 「そういうことをいう君は、葡萄酒の真の理解者ではないね。この葡萄酒は穴蔵の中に千年しまい込んであったボルドーにだって負けることではないよ。いったいベ....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
ろう。」 二十六 「奴は勝ほこった体で、毛筋も動かぬその硝子面を、穴蔵の底に光る朽木のように、仇艶を放って※しながら、 (な、けれども、殿、殿たち....
深夜の市長」より 著者:海野十三
僕は親猿に抱かれた子猿のように、かの老人に抱きすくめられていた。そこはどうやら穴蔵でもあるらしく、老人の吐く息が周囲にハッハッと反響した。 外はだんだんと騒....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
機械工学の研究のため学校の中に起居していました。そこでは人に応接する面倒もなく、穴蔵の中で自由な研究時間を持つことが出来ました。故国からは、たまに兄や嫂からの手....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
側の把手を握って、重い鉄扉を観音開きに開きはじめたからだった。内部は漆黒の闇で、穴蔵のような湿った空気が、冷やりと触れてくる。ところが、どうしたことか、中途で法....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
たのが、ぱっと明るみへ立つと、肩から袖が悄れて見えて、温室のそれとは違って、冷い穴蔵から引出しでもしたようだった、その顔を背けたまま、「はい、何を差上げます。」....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
こすりついて来るのであった。 私たちはまず地下室や台所を見まわった。そうして、穴蔵に二、三本の葡萄酒の罎がころがっているのを見つけた。その罎には蜘蛛の巣が一面....
野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
う宣告を下しました。目のさめるようなりっぱな王宮の広間から、くらい、じめじめした穴蔵のろうやへエリーザは押し込められました。風は鉄格子の窓からぴゅうぴゅう吹き込....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
に手応えがあった。 今でも僕は、あの両手を突っ込んだときの感じは、まるで湿った穴蔵へ手を突っ込んだように冷やりとしたのを覚えている。カーテンのうしろから、恐ろ....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ら三日後に、法水と検事は再び寂光庵に赴いた。が、それまでに彼が得た情報と云えば、穴蔵に横たえた推摩居士の屍体に、瑜珈式仮死を信じている寂蓮尼が凄惨な凝視を始めた....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
けるのである。 右左に大な花瓶が据って、ここらあたり、花屋およそ五七軒は、囲の穴蔵を払ったかと思われる見事な花が夥多しい。白菊黄菊、大輪の中に、桔梗がまじって....
暗黒星」より 著者:黒岩涙香
用意をするが好かろう。取り分け衣類や食物の如きものは容易に変敗の恐れがあるから、穴蔵の底深く納めて置く様な用意は無くてはなるまい」 と云う位の返辞をしたが。 ....
透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
ルをたたき起こしていた。二人は、お手伝いのミリーよりも早く起きて、いつものように穴蔵にしこんだビールにサルサ根からとった液をまぜ、いちだんと味をよくしようという....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ってまいります。 これまでは出所の好い、時代のあるのが、 樽を並べて積み上げて、穴蔵にありましたのに、 皆様が引切もなくお飲になるので、 もうそろそろ残少になっ....