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「空き腹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

空き腹の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
罎を、次郎どのの狗ではないが、皆なめてしまうのではなかったものを。大歎息とともに空き腹をぐうと鳴らして可哀な声で、姐さん、そうすると、酒もなし、麦酒もなし、肴も....
今日の耳目」より 著者:宮本百合子
思う。あながち食物の潤択さばかりにもない。物資の豊富さばかりにもない。 相当の空き腹で、相当に雨水のしみこんで来る靴で、少年たちが猶喜々としているとすれば、つ....
幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
ま眼を光らせ鼻をうごめかせている獣に飛びつかれるものですから、やむを得ず、ここに空き腹を抱えて、我慢をしていたのです。そのうちに、すっかり疲労と衰弱とが来てしま....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
う」 阿Qは近来生活の費用に窘しみ内々かなりの不平があった。おまけに昼間飲んだ空き腹の二杯の酒が、廻れば廻るほど愉快になった。そう思いながら歩いていると、身体....
支那の狸汁」より 著者:佐藤垢石
きな想像をめぐらしながら、この原稿を書いていると、東京の学校へ行っている愚息が、空き腹を抱え蒼くなって帰ってきた。母は、お藷の麦まぶしでも、おあがんなさいという....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ぱいの看板をあげたのが浅田飴の広告で、「先代萩」の飯焚場の鶴千代君の絵でした。「空き腹に飯」という文句がよく出ていました。実物大といいましょうか、どうもよほど大....
水菓子屋の要吉」より 著者:木内高音
、晩の食事には、なんにももらうことができませんでした。要吉は、お湯にもいかずに、空き腹をかかえて、こちこちのふとんの中にもぐりこまねばなりませんでした。 要吉....
三国志」より 著者:吉川英治
ると、ゆうべから渇いていたように、すぐ呶鳴った。 「おいっ、酒をくれい」 朝の空き腹に、斗酒をいれて、張飛はすこし、眼のふちを赤黒く染めた。 やや気色が晴れ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ましたので、女の肌などは半年以上もふれてやしません。そこへもって来て人里を嗅ぎ、空き腹に茶碗酒と来たんですからムリはない」 「自分で申すわ。あきれたやつだ」 「....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
ってもらい、ハンケチに包んで、腰にくくり、それを食べるのを楽しみに、自分で自分の空き腹を釣っては、足まかせに歩くのである。その当時、完全に胃腸は治った気がした。....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
汚い水をさも貴いもののようにして、馬鹿骨を折って炊いた糠臭い飯などは、この大事な空き腹にあてがい度はない。水、水。私は人には構わず先に立って中ノ谷をドンドン下っ....
大岡越前」より 著者:吉川英治
って、きょうもあてなく、盛り場の裏町をうつろに歩いている二人だった。 寒さと、空き腹は、悪への盲目を駆り立てるが、大亀や阿能十のような先輩がいなくては、味噌久....