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空け
「空け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
は何というのでしょうか。憧憬、なるほど、その憧憬を作る為めに。 自分が再々家を
空けるので、妻は愛想を尽かしたのも無理はない。妻は子供を連れたまま実家へ引取った....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
いドイツ娘である。しかし、それ以外の部分はなんという変りかた※ 厚い唇をだらりと
空けた様《さま》。
顔はだだ広く鼻は結節をなし、ほそい目の瞼がきりっと裂けてい....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
学者肌で、無慾、恬淡、衣食ともに一向気にしない、無趣味と云うよりも無造作な、腹が
空けば食べるので、寒ければ着るのであるから、ただその分量の多からんことを欲するの....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
何となく外が騒々しくなってきた。 「何だ。又おっぱじまったのかナ。……」 丼を
空けたあとに湯を注いで貰って呑んでいた連中がガヤガヤ云いながら、屋台を出ていった....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
消すといかんから、下の方の板をそっと切り破ろうじゃないか」
やがて、扉の下方に
空けられた四角の穴から潜り込むと、法水は懐中電燈を点じた。円い光に映るものは壁面....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
たと思うと、クルトの顳※にポツリと紅いものが……。彼が、ポカンと馬鹿のように口を
空けていたのも瞬時、たちまち、崩れるように床へ転げ落ちてしまったのだ。 ルチア....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
は恐る恐るコップに口をつけたが、やはりうまかったものと見え、いつの間にかすっかり
空けてしまった。しかしもう一杯呑もうとは云わなかった。 三ばいの生ビールが、杜....
「死者の書」より 著者:折口信夫
と言う。門は、左京二条三坊に、北に向いて開いて居るが、主人家族の住いは、南を広く
空けて、深々とした山斎が作ってある。其に入りこみの多い池を周らし、池の中の島も、....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
も知れない」熊城は珍らしく神妙な合槌を打った。 「場所もあろうに、頭の頂天に孔を
空けられて、それでいて抵抗も苦悶もした様子がないなんて――。こんな判らずずくめの....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
で、衣兜から手巾を出して、拭きにかかったが、蝙蝠傘を片手に持っていたから手を
空けようとして咽喉と肩のあいだへ柄を挟んで、うつむいて、珠を拭いかけた。 これ....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
やがて、舞台は急に大風一過。不気味なほど、寂然とする。 文麻呂も清原も、まるで
空けたように、呆然として、立ちつくしている。 舞台はしばらくそのまま。……… や....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
て、女中はジロジロお光の姿を見るのであった。 「御用だから呼んだのよ。この急須を
空けっちまっての、新しく茶を入れて来な」 「はい」と女中はようよう膝を折って、遠....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
い奴をペロペロと五皿平らげた。 私は食物には割合に無頓着であって、何処でも腹が
空けばその近所の飲食店で間に合わして置く方であるが、二葉亭はなかなか爾う行かなか....
「恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
に姿が見えなくなってしまったのです。 恰度、その時私は父の看護に行っていて家を
空けていました。女中の電話で馳けつけてみますと、あの通り窓が開いていて、 『旦那....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
ていて畳が敷いてあり、日本風に飾りつけてありましたが、聞けばその部屋は私のために
空けておいてくれたのだそうです。 ふっくらした紫|縮緬の坐蒲団の上に座ると急に....