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「空合〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

空合の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
武蔵野」より 著者:国木田独歩
りそそぎ、その晴れ間にはおりおり生《な》ま暖かな日かげも射してまことに気まぐれな空合《そらあ》い。あわあわしい白《し》ら雲が空《そ》ら一面に棚引《たなび》くかと....
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
経て彼《か》の五助街道へ掛りましたのが十月|中旬《なかば》過ぎた頃もう日暮れ近く空合《そらあい》はドンヨリと曇っておりまする。三人はトットと急いで藤ヶ谷の明神山....
姪子」より 著者:伊藤左千夫
てる、佐兵エどんの家内よ、あの人がたしか十四五の頃だな、おれは只遠い村々の眺めや空合の景色に気をとられて、人の居るにも心づかず来ると、道端に草を刈ってた若い女が....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の長い日ももう暮れかかって、聖天の森の影もどんよりと陰っていた。 「なんだか忌な空合いになって来ましたね」と、善八は空を仰ぎながら云った。 「むむ。まったくいや....
妖術」より 著者:泉鏡花
、晩になると、柳の風に、黒髪がひやひやと身に染む頃。もうちと経つと、花曇りという空合ながら、まだどうやら冬の余波がありそうで、ただこう薄暗い中はさもないが、処を....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
々心に掛けて敵の様子を尋ねて居りましたが、頓と手掛りがございません。少し此の日は空合が悪くてばら/\/\と降出しましたから、毎もより早く帰って脚半を取って、山之....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
雨を含んだ風がさっと吹いて、磯の香が満ちている――今日は二時頃から、ずッぷりと、一降り降ったあとだから、この雲の累った空合では、季節で蒸暑かりそうな処を、身に沁みるほどに薄寒い。…… 木の葉をこぼ....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
たけれど、今日お午過ぎには暗く曇って、おつけ晴れて出られない身体にはちょうど可い空合いでしたから、貴方の留守に、お母さんのお墓まいりをしたんですよ。……飯田町へ....
絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
、思われない。 その日は三月三日――いやに底冷えがして、いつか雪でも催しそうな空合だった。が、そのような宵節句にお定まりの天候と云うものは、また妙に、人肌や暖....
恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
る頃にこの藤沢へ行き着いて、この掛茶屋にひと休みしているのであった。 「なんだか空合いがおかしくなって来たな。」と、四郎兵衛は空を仰ぎながら言った。 「そうねえ....
取舵」より 著者:泉鏡花
るにあらざれば、解纜を見合すをもて、却りて危険の虞寡しと謂えり。されどもこの日の空合は不幸にして見謬られたりしにあらざるなきか。異状の天色はますます不穏の徴を表....
鯛釣り素人咄」より 著者:佐藤垢石
なければならないのであって、初心者に難しい問題である。だから、シャクルことが即ち空合わせになるように、一度シャクルにも努めて心を入れて、味を見ながらシャクらなけ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
らおみこしを据えて、愛吉の物語に耳を傾けたり、士官の方をじろじろ見たり、あるいは空合を伺ってびっしょりの奇観を呈するなど、慌てたような、落着いたような、人の悪い....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
ットの紅を散らし紫を溶かす、傘をかざしてやや暫くは辛抱したが、いつ歇むとも思えぬ空合に、詮方なく宿に帰った。 この夜、大雨の中を、宿のおかみさんは青柳から帰っ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
い板囲いの潜り戸を開けてもらっていた。 ほの黄色い燐の火でも燃えちろめきそうな空合であった。 樹といっては白い幹の凋落樹の白樺がただ一本うち湿っているきりで....