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「空裏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

空裏の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
らば、杯盤の間に周旋して主人の御意に入る事はできんのであります。今かりに大弾丸の空裏《くうり》を飛ぶ様を写すとする。するとこれを見る方《ほう》に二通りある。一は....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
る心臓の扉《とびら》は、恋と開き恋と閉じて、動かざる男女《なんにょ》を、躍然と大空裏《たいくうり》に描《えが》き出している。二人の運命はこの危うき刹那《せつな》....
薤露行」より 著者:夏目漱石
き》はあるべしと念じたるに、引き寄せたる磁石は火打石と化して、吸われし鉄は無限の空裏を冥府《よみ》へ隕《お》つる。わが坐《す》わる床几の底抜けて、わが乗る壇の床....
草枕」より 著者:夏目漱石
は石甃《いしだたみ》の上に立って、このおとなしい花が累々《るいるい》とどこまでも空裏《くうり》に蔓《はびこ》る様《さま》を見上げて、しばらく茫然《ぼうぜん》とし....
幻影の盾」より 著者:夏目漱石
。三度目に敲いた音が、物静かな夜を四方に破ったとき、偶像の如きウィリアムは氷盤を空裏に撃砕する如く一時に吾に返った。紙片を急に懐《ふところ》へかくす。敲く音は益....
明暗」より 著者:夏目漱石
でも、乃至《ないし》お延、お秀の愛でも何でもなかった。ただ漫然《まんぜん》として空裏《くうり》に飛揚《ひよう》する愛であった。したがってお延の努力は、風船玉のよ....
野分」より 著者:夏目漱石
翁《さおう》は指輪を種に幾多の波瀾《はらん》を描いた。若い男と若い女を目に見えぬ空裏《くうり》に繋《つな》ぐものは恋である。恋をそのまま手にとらすものは指輪であ....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
罹《かか》って生か死かと騒がれる余に、幾日かの怪しき時間は、生とも死とも片づかぬ空裏《くうり》に過ぎた。存亡の領域がやや明かになった頃、まず吾《わが》存在を確め....
十二支考」より 著者:南方熊楠
ろ》の竜王あり地上を行き、あるいは水中にあって依止を作《な》し、あるいはまた常に空裏を行き、あるいはつねに妙高に依って住むあり(妙高は須弥山《しゅみせん》の事)....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
流ゑんてんとして芳《はう》てんをめぐる 月は花林を照して皆|霰《あられ》に似たり空裏の流霜飛ぶことを覚えず 汀上《ていじやう》の白沙見れども見えず 江天一色繊塵....
荘子」より 著者:岡本かの子
りとりはその辺で終った。やがて麗姫は何もかも忘れてしまって自分の興そのものだけを空裏に飛躍させ始めた。荘子はその境地を見るのを楽しみにしてこそ麗姫に逢いに来たの....