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「空際〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

空際の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
さず、 フォエベの鎌はまだ望月と成らざりき。 地は未だ今のごとく、 己と釣合いて空際に浮ばず またアムフィトリートの腕は未だ我が物と 遠く広がる国々の果てを抱か....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
悲しみをしのごうとして、たち上がった。ひらめき発する金色な眼花の光彩は、あだかも空際を縫って通る火花のように、また彼の前に入り乱れた。彼は何ものかを待ち受けるよ....
日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
。 月見をする。星祭りをする。これも、少し無理な言い方をすれば庭園の自然を宇宙空際にまで拡張せんとするのであると言われないこともないであろう。 日本人口の最....
太十と其犬」より 著者:長塚節
て一直線に進んで来る。閃光を放ちながら雷鳴が殷々として遠く聞こえはじめた。東南の空際にも柱の如き雲が相応じて立った。文造は此の気象の激変に伴う現象を怖れた。彼は....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ている方向は三河蒲郡《みかわがまごおり》か、或いは知多半島の方面であろうところの空際を指して、道庵は突然、「肥後の熊本が見える」と言い出したものです。 言われ....
死者の書」より 著者:折口信夫
なだれをなした大きな曲線が、又次第に両方へ聳って行っている、此二つの峰の間の広い空際。薄れかかった茜の雲が、急に輝き出して、白銀の炎をあげて来る。山の間に充満し....
俊寛」より 著者:倉田百三
ろどころに芦荻など乏しく生ゆ。向こうは渺茫たる薩摩潟。左手はるかに峡湾をへだてて空際に硫黄が嶽そびゆ。頂より煙をふく。ところどころの巌角に波|砕け散る。秋。成経....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
り 午後四時出港。海上は風清く涼満ち、さらに炎暑を覚えず。ことに夜に入りて明月空際に懸かり、清光を送り来たるところ、実に物外の趣ありて、人をして吟情を動かさし....
俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
に、それが容易に出逢いそうもない、ということは、かつて「二つの併行する直線は無辺空際まで行っても出逢わない」という話を聞いた時のように、その二つの野路がいつまで....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
高、常念、大天井から鹿島槍、五竜に至る北アルプスの大立物が、銀光|燦として遥かの空際を天馬の如く躍っている。籠ノ塔の後には岩菅山らしいものさえも望まれた。 頂....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
を乱杭のように押し立てている。早月川の谷から力の籠った而も穏かな山稜の波が遥かの空際をうねって、この尖柱の森列せる断崖がなおも西へ延びた突端迄来ると、一躍之を越....