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穿つ
「穿つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
穿つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
、一人もなかった。市九郎は、ただ独りその努力を続けねばならなかった。が、もう掘り
穿つ仕事において、三昧に入った市九郎は、ただ槌を振うほかは何の存念もなかった。た....
「雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
って放射している、その重味で、黒沙の土が刳《え》ぐられたように凹んでいる、黒沙を
穿つと、その下にも結晶した白いのが、燦《きら》りと光る、山体が小さく尖って来るほ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ロメートル以内のすべての物を掃除してゆくはずである。つまりそれだけの半径の溝渠を
穿つわけになる。また相対速度が遅いほどこの溝は広くなるのである。しかるにウォルフ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
五マイルと算してある。それには松本から、洗馬、奈良井を経て、鳥居峠の南方に隧道を
穿つの方針で、藪原の裏側にあたる山麓のところで鉄道線は隧道より現われることになる....
「不審庵」より 著者:太宰治
ない取って置きの新しい紺足袋をはいて家を出た。服装まずしくとも足袋は必ず新しきを
穿つべし、と茶の湯客の心得に書かれてある。省線の阿佐ヶ谷駅で降りて、南側の改札口....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
大きやかな櫛をさして飛白帷子に襦袢、帯は一つ結びにして扇は後ろに挟み、塗|木履を
穿つ。但しこの書なるは足袋もつけておるが、後には素足を伊達の時好として客もゆるし....
「早すぎる埋葬」より 著者:佐々木直次郎
塵は本の如く土に帰り霊魂はこれを賦けし神にかえるべし」 (7) 穿顱錐で頭蓋骨を
穿つ手術。あるいは円錐術とも言う。 (8) 静脈を切って血を出す治療法。 (9)....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
のものがある。 重さが十二キロのものは、爆発すると直径が五メートルもある大孔を
穿つ。そして十メートル以内の窓|硝子を破損し、木造家屋ならば、もう使用出来ない程....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
んでもやるがよいわ。おのが仕掛けた地雷火で、 打ち上げられるを見るも一興。 先で
穿つ穴よりも、三尺下を此方が掘り 月を目掛けて、打上げなんだら不思議であろうぞ。....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
に語るべきものではない。『八犬伝』もまた末尾に近づくにしたがって強弩の末|魯縞を
穿つあたわざる憾みが些かないではないが、二十八年間の長きにわたって喜寿に近づき、....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ばかり、といううちにも、――大野木宗匠は、……常袴の紺足袋で、炎天にも日和下駄を
穿つ。……なぜというに、男は肝より丈まさり、応対をするのにも、見上げるのと、見下....
「県歌 信濃の国」より 著者:浅井洌
て世に仰ぎ 川と流れて名は尽ず 六 吾妻はやとし日本武 嘆き給いし碓氷山
穿つ隧道二十六 夢にも越る汽車の道 みち一筋に学びなば 昔の人にや劣....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
抱きながらも、
波の立居は見られますね。兎に角何か
見られますね。凪いだ海の緑を
穿つ
鯨のようなデルフィインも見えましょう。
雲のたたずまい、月日や星の光も見え....
「芸術は革命的精神に醗酵す」より 著者:小川未明
れていたからでもある。徳川時代の戯作者は、その最もいゝ例である。 人情の機微を
穿つとか、人間と人間の関係を忠実に細叙するとかいうのも、この世の中の生活様式を其....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
付き払って勉強し続けるのです。すると長年月の後には、「塵積って山となり、点滴石を
穿つ」というように、必ず自分の才能特色が何らかの形をとって世に現れずにはいません....