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突き出し
「突き出し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
突き出しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「おしの」より 著者:芥川竜之介
たのかどうかはっきりしない。神父はほとんどのしかかるように鬚《ひげ》だらけの顔を
突き出しながら、一生懸命にこう戒《いまし》め続けた。
「まことの神をお信じなさい....
「或る女」より 著者:有島武郎
の前だけをはずして、上着を脱ぎ捨てた船医らしい男が、あたふたと細長いなま白い顔を
突き出したが、そこに葉子が立っているのを目ざとく見て取って、あわてて首を引っ込め....
「或る女」より 著者:有島武郎
《どろ》になった手を後ろに回して、上体を前に折り曲げて、葉子の鼻の先に自分の顔を
突き出してお壺口《つぼぐち》をした。葉子もいたずららしく周囲に目を配ってその顔を....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
の音を聞きつけて、往来の子供たちはもとより、向こう三軒両隣の窓の中から人々が顔を
突き出して何事が起こったかとこっちを見る時、あの子供と二人で皆んなの好奇的な眼で....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
込んでいた膝を、ぬいと引っこ抜いて不精に出て行く。 待つことしばらくして、盆で
突き出したやつを見ると、丼がたった一つ。腹の空いた悲しさに、姐さん二ぜんと頼んだ....
「映画と癩の問題」より 著者:伊丹万作
半は癩者であった。彼らが参詣人から与えられる小額の銅貨を受け取るため、絶えず前に
突き出している手にはほとんど五指がなかった。我々はそれを見るのがいやさに、この参....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
「泥棒じじい!」 吉弥は片足を一歩踏み出すと同時に、あごをもよほど憎らしそうに
突き出して、くやしがった。その様子が大変おかしかったので、一同は言い合わせたよう....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
棒の杖をついて休みながら、ぬっとあのふやけた色づいて薄赤い、てらてらする鼻の尖を
突き出して、お米の横顔の処を嗅ぎ出したのでございますと。 もうもう五宿の女郎の....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
彼は遂に靜修庵の垣根の外へ行った。 庵のまわりは水田であった。白壁が新緑の中に
突き出していた。後ろの低い垣の中に菜畑があった。 阿Qはしばらくためらっていた....
「薬」より 著者:井上紅梅
頭を撮んでいたが、赤い汁は饅頭の上からぼたぼた落ちていた。 老栓は慌てて銀貨を
突き出しガタガタ顫えていると、その人はじれったがって 「なぜ受取らんか、こわいこ....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
の小さいのはちょっと草の葉を択《えら》んで食ったが、親兎は許さぬらしく、往々口を
突き出して横合いから奪い取り、自分も決して食わない。子供等はどっと笑い出した。小....
「瘤」より 著者:犬田卯
やってから、 「いや、お忙しいところを……」 と言って、そして紙片を出し、田辺へ
突き出して、 「なアに、何でもないでしょう。ちょっと訊ねたいことがあるとか言って....
「米」より 著者:犬田卯
ケットから巻煙草などをつまみ出し、一本どうだ、とばかり黙って浩平の眼の前へ袋ごと
突き出した。 浩平は「暁」を一本つまみ、 「やみやって国家のためもあんめえ。」....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
、今しも常念は、ほんのりとした茜色の曙光を負いて、独特のピラミッド形を前山の上に
突き出し、左ん手で妹子の蝶ヶ岳を擁している、近くは千人岳とて、多くの羅漢が如鬼如....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
の金にするのだ。 一方宿からは毎日矢のような宿賃のさいそくだ。ついには領事館に
突き出してやる、といわれて私も心を決めた。 『それほどいうなら、この体で宿賃を払....