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「突上げ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

突上げの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吉原新話」より 著者:泉鏡花
たった今乗せたばかりの処だろう、空車の気前を見せて、一つ駆けで、顱巻の上へ梶棒を突上げる勢で、真暗な坂へストンと摺込んだと思うと、むっくり線路の真中を躍り上って....
賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
右衛門、ついに上になり首を掻こうとするのを、五左衛門すかさず下から小刀で二刀まで突上げたが、鎧堅くて通らず討たれて仕舞った。佐久間勝政も庭戸浜で戦って居たのを、....
恐竜島」より 著者:海野十三
にかられ、神に祈り、誓いをたてた。 がりがりッと大きな音がして、ボートは下から突上げられた。と、いくらオールで海面をひっかいても、もう進まなくなった。 「いけ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
合う、引掻き合う。 この騒ぎが一団の仏掌藷のような悪玉になって、下腹から鳩尾へ突上げるので、うむと云って歯を喰切って、のけぞるという奇病にかかった。 はじめ....
マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
や左右にして、くるりとこっちへ向直《むきなお》った貞奴は、あの一流のつんと前髪を突上げた束髪で、キチンと着物を着て、金の光る丸帯を幅広く結んだ姿であった。顔は頬....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
下を掘る場面があるが、あれを見るたびに私は微笑とも苦笑ともなづけがたいほほえみが突上げてくる。伊太八のは根強い悪だが藤木さんのは時代のユーモアがある。この放蕩漢....
夢と人生」より 著者:原民喜
嘆くべきではなかったであろう」 ロカタンスの言葉が僕の歩いている靴の底から僕に突上げて来る。僕は箱のなかを抜け出して、駅に出る坂路を歩いてゆく。思い出はこの男....
巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
はうめくべく唄の一句毎の前には必らず鼻と咽喉の間へ「フン」といった自嘲風な力声を突上げる。「フン」「セ・モン・ジゴロ……」である。 これに不思議な魅力がある。....
南国太平記」より 著者:直木三十五
と、斉彬に握られている手も、身体も、力の無い脚も、一度に、病児とは思えぬ程の力で突上げ、顫わせた。脣は、痙攣《けいれん》して、眼は大きく剥き出し、瞳孔を釣上げて....
魔都」より 著者:久生十蘭
ずに」 岩井は今までハッチソンが掛けていた椅子に腰をおろすと、やけに帽子の庇を突上げて端麗な額を剥き出し、 「いや、それがです、有明荘の門前に警察《おかみ》の....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
車夫が、鼻息を荒く、おでんの盛込を一皿、銚子を二本に硝子盃を添えた、赤塗の兀盆を突上げ加減に欄干|越。両手で差上げたから巻莨を口に預けたので、煙が鼻に沁む顰め面....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
華経の偈の一節。 やがて曇った夜の色を浴びながら満水して濁った川は、どんと船を突上げたばかりで、忘れたようにその犠を七兵衛の手に残して、何事もなく流れ流るる。....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
春風の―― そのあたりからは、見物の声が章句も聞こえて、中には目金の上へ謡本を突上げるのがあり、身動きして膝を敲くのがある。ああ、しかも聞け――お久という人の....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
気を身に覚え、吐気を催して、異様な心地悪しさが指先にまで染渡ると、何か胃から頭に突上げて来る、そうして眼や耳に掩い被さるような気がする。青い光が眼に閃付く。彼は....