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窪み
「窪み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
窪みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
悪かった。が、間もなく私達は、干潮線の海水に三分の一程|浸った幅一|吋程の細長い
窪みを発見した。そしてその
窪みから一|呎程のところに、海の底が岩になっていて、深....
「食魔」より 著者:岡本かの子
身体が弱るからとてなかなか注して呉れない。全身、蒼黒くなりその上、痩さらばう骨の
窪みの皮膚にはうす紫の隈まで、漂い出した中年過ぎの男は脹れ嵩張ったうしろ頸の瘤に....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ェーヴを弾ね除けた額は、円くぽこんと盛上って、それから下は、大きな鼻を除いて、中
窪みに見えた。顎が張り過ぎるように目立った。いつもの美しい眼と唇は、定まらぬ考え....
「春昼」より 著者:泉鏡花
でございます。 幕が開いた――と、まあ、言う体でありますが、さて唯浅い、扁い、
窪みだけで。何んの飾つけも、道具だてもあるのではござらぬ。何か、身体もぞくぞくし....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
とね。」 「はあ――」 「ものの三間とは離れません。宮裏に、この地境らしい、水が
窪み入った淀みに、朽ちた欄干ぐるみ、池の橋の一部が落込んで、流とすれすれに見えて....
「古狢」より 著者:泉鏡花
そのまま中仙道北陸道を負い通いて帰国した、と言伝えて、その負さりたもうた腹部の中
窪みな、御丈、丈余の地蔵尊を、古邸の門内に安置して、花筒に花、手水鉢に柄杓を備え....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
はお前様、あの徒と申しますものは、……まあ、海へ出て岸をば※して御覧じまし。巌の
窪みはどこもかしこも、賭博の壺に、鰒の蓋。蟹の穴でない処は、皆|意銭のあとでござ....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
に見た未完成のスケッチのように醜くなっていた。その顳※の上や、両眼の下や、両頬の
窪みには、濃い紫の死びと色があらわれていた。又その色は彼の長い指にも爪ぎわにもあ....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
。 ――大変ね。 ――独り者の気楽さって処もありますよ。 墓地を出て両側の
窪みに菌の生えていそうな日蔭の坂道にかかると、坂下から一幅の冷たい風が吹き上げて....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
夫人の前には再びやや急な石段が顕われた。軽く喘いで、それを上ると、小高い皿地の中
窪みに、垣も、折戸もない、破屋が一軒あった。 出た、山の端に松が一樹。幹のやさ....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
の少女の履くポックリの前底部を一寸思い出させる様なこの靴跡の前の部の局部的な強い
窪み方――。等々の総合的な推理からして、僕はこの靴を、一種の木靴――あの真夏の海....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
。」 時に青空に霧をかけた釣鐘が、たちまち黒く頭上を蔽うて、破納屋の石臼も眼が
窪み口が欠けて髑髏のように見え、曼珠沙華も鬼火に燃えて、四辺が真暗になったのは、....
「山吹」より 著者:泉鏡花
、屠所に赴くもののごとし。しかも酔える足どり、よたよたとして先に立ち、山懐の深く
窪み入りたる小暗き方に入り来り、さて両腕を解けば縄落つ。実はいましめたるにあらず....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
心ある市の者より、田畑少し附属して養いおく、山番の爺は顔|丸く、色|煤びて、眼は
窪み、鼻|円く、眉は白くなりて針金のごときが五六本短く生いたり。継はぎの股引膝ま....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
に往来の少し引込みたる所などには必ず黄なるもの累々として堆く、黄なる水|湛として
窪みに溜りをりて臭気紛々として人に逼る、そのくせ大通にあつては両側に櫛比せる商戸....