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「窪地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

窪地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
に来てしまっていた。道がへし折られたように曲って、その先きは、真闇《まっくら》な窪地に、急な勾配《こうばい》を取って下っていた。彼らはその突角《とっかく》まで行....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
はどうしたろう。」ありたけの飛石――と言っても五つばかり――を漫に渡ると、湿けた窪地で、すぐ上が荵や苔、竜の髯の石垣の崖になる、片隅に山吹があって、こんもりした....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
います。 その、大蒜屋敷の雁股へ掛かります、この街道、棒鼻の辻に、巌穴のような窪地に引っ込んで、石松という猟師が、小児だくさんで籠もっております。四十|親仁で....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
一列になった。 すぐここには見えない、木の鳥居は、海から吹抜けの風を厭ってか、窪地でたちまち氾濫れるらしい水場のせいか、一条やや広い畝を隔てた、町の裏通りを―....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
ろうかと、曾我ではなけれど気が合って歩行き出した。坂を下りて、一度ぐっと低くなる窪地で、途中街燈の光が途絶えて、鯨が寝たような黒い道があった。鳥居坂の崖下から、....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
の毒らしい。 「御免なして。」 と背後から、跫音を立てず静に来て、早や一方は窪地の蘆の、片路の山の根を摺違い、慎ましやかに前へ通る、すり切草履に踵の霜。 「....
海の使者」より 著者:泉鏡花
の楽器に別れて、散策の畦を行く。 と蘆の中に池……というが、やがて十坪ばかりの窪地がある。汐が上げて来た時ばかり、水を湛えて、真水には干て了う。池の周囲はおど....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、双方、膝の隠れるほど草深い。 実際、この卵塔場は荒れていた。三方崩れかかった窪地の、どこが境というほどの杭一つあるのでなく、折朽ちた古卒都婆は、黍殻同然に薙....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
方角も、まるで違うけれども、むかし小学校の時分、学校近所の……あすこは大川|近の窪地だが、寺があって、その門前に、店の暗い提灯屋があった。髯のある親仁が、紺の筒....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
幾曲り、で、根岸の里の雪の卯の花、水の紫陽花の風情はないが、木瓜、山吹の覗かれる窪地の屋敷町で、そのどこからも、駿河台の濃い樹立の下に、和仏英女学校というのの壁....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ど遠くない、おそらく二マイルほどはなれた高い丘に、小さな渓谷、というよりはむしろ窪地というべきところがあるが、そこは世の中でいちばん静かな場所である。小川が滑る....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
いて…… わが、辻三がこの声を聞いたのは、麹町――番町も土手下り、湿けた崖下の窪地の寒々とした処であった。三月のはじめ、永い日も、午から雨もよいの、曇り空で、....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
道を、たらたらと下りて、ずッと低い処から、また山に向って径の坂を蜒って上る。その窪地に当るので、浅いが谷底になっている。一方はその鐘楼を高く乗せた丘の崖で、もう....
山吹」より 著者:泉鏡花
なる青麦畠と相連る。丘のへりに山吹の花咲揃えり。下は一面、山懐に深く崩れ込みたる窪地にて、草原。苗樹ばかりの桑の、薄く芽ぐみたるが篠に似て参差たり。 一方は雑木....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
たいに、ぐいと下りた。大橋の橋杭が昼見た山の塔の高さほどに下から仰がれる、橋袂の窪地で、柳の名、雪女郎の根の処である。 「ここが暗いんですからね。――ちょっと見....