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立て直し
「立て直し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
立て直しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
誰からともなく一度に軍刀をひき抜いて、咄嗟《とっさ》に馬の頭《かしら》をその方へ
立て直した。勿論その時は、万一自分が殺されるかも知れないなどと云うことは、誰の頭....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ない声を、たれとも知らずわっと上げると、始めのひるんだけしきにも似ず一度に備えを
立て直して、猛然として殺到する。沙金《しゃきん》も、今は弓にたかうすびょうの矢を....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
かりである。昭和十二年の選挙のときだったか、ある人が路に倒れた私の選挙の立看板を
立て直したため検挙されたことがあった。バカげた話であるが、戦後はそんなこともなく....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
と運動との区別はない)天地に起こった。さあ始まったと私は二つに折った背中を思わず
立て直した。同時に自然は上歯を下くちびるにあてがって思いきり長く息を吹いた。家が....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
使命を教えたまえ」 「……」速水は前よりも激しい愕きの色を見せて、首を元の位置に
立て直したが、やがて向うから、唇を僕の耳に持ってきて囁いたことである。「それだけ....
「断層顔」より 著者:海野十三
分解して空間へ電波として送り出し、それを別の局で受信してもう一度木田氏の身体を組
立て直したのであった。そのとき江川技師の並々ならぬ努力によって、木田の顔面と身体....
「食魔」より 著者:岡本かの子
へかけて嫩葉のような匂いと潤いを持っていた。それが拓本老職人の古風な着物や袴を仕
立て直した衣服を身につけて座を斡旋するさまも趣味人の間には好もしかった。人々は戯....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ではございませんか。その前にも、わたくしは、わたくしの少し派手過ぎた着物を娘に仕
立て直してやりましょうとしますと、どうしても断って仕立て直させません。これでは全....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
生きて行けるものやら、そのことさえ判らなかった。だがその後ほとんど人生への態度を
立て直した逸作の仕事への努力と、かの女に思わぬ方面からの物質の配分があって、十余....
「真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
秋山の権幕があまりに激しいので、彼は一段と恐縮したように見せながら、徐々に備えを
立て直して、江戸の手先がむやみに狐なんぞに化かされて堪るものかという意味をほのめ....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
はございません。勿論、それで吉原が潰れっ切りになったわけではなく、ふたたび備えを
立て直して相変らず商売をつづけて行くことになったのですが、前々から廃業したいとい....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
あってくれればいいがと思った最初の希望は外れた。わたしは幾たびかいろいろに考えを
立て直してみたが、結局それは徒労と絶望に終わった。あの声はどうしても妖怪変化の声....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ゃなんの祟りもいたずらもせまいよ」 「わしらがなんの悪いことをした」と、婆は膝を
立て直した。 おお、悪いことをした。となりの娘を遊女に売ろうとした――と、千枝....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
や、女でない。源三郎を斬った」 市之助もぎょっとした。彼は寝衣《ねまき》の膝を
立て直して又きいた。 「なぜ斬った。口論か」 「おれも短気、源三郎も短気、ゆるし....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
る、それは容易ならないことだと思った。多吉もさすがにびっくりして、行儀の悪い膝を
立て直して云った。 「まあ蚊帳へはいれ。一体そりゃあどういう理窟だ」 七蔵の主....