立去る[語句情報] » 立去る

「立去る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

立去るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
ういって、宿屋の帳附けが旅客の姓名を宿帳へ記入し、跡でお愛想に少許り世間話をして立去るような調子に去って終った。 予は彼が後姿を見送って、彼が人間としての変化....
奇賊悲願」より 著者:海野十三
そういって否定した。貫一の予期したとおりであったので、彼はほっとした。かの刑事が立去る後姿を、貫一は注意力を傾けて見ていたが、それは満足すべきものであった。なぜ....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
引張られ、壁に対して四つ五つ鉢合せを頂戴し、閑人はようやく胸をすかして勝ち慢って立去る。 阿Qはしばらく佇んでいたが、心の中で思った。「乃公はつまり子供に打た....
怪獣」より 著者:岡本綺堂
本当か判らなかったが、わたしはその以上に追窮することを敢てしなかった。 氷垣が立去ると、入れ代って旅館の番頭が来た。これは氷垣とは違って、見るからに老実そうな....
くろん坊」より 著者:岡本綺堂
てて行っても惜しいことはないのですが……。ある物に引留められて、どうしてもここを立去ることが出来なくなりました。唯今も申す通り、三年、五年、十年……。あるいは一....
魚妖」より 著者:岡本綺堂
た月ばかりで病人はとうとう死んだ。その葬式が済んだ後に、吉次郎はあらためて養家を立去ることになった。その時に彼は養母に注意した。 「おまえさんも再びこの商売をな....
有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
しく、三月のはじめ、お蝶の三十五日の墓参をすませると、いよいよ思い切って溝口家を立去ることになったが、その行く先をはっきりと明かさなかった。 「今度の奉公先は一....
火薬庫」より 著者:岡本綺堂
てしまって、世間では更に新しい戦報を待ちうけている頃に、向田大尉は突然この師団を立去るという噂がまた聞えた。これで大尉が無事に生きている証拠は挙がったが、他に転....
女侠伝」より 著者:岡本綺堂
ど離散の悲境に陥ってしまったが、何分にもこの一件が解決しない間は、むやみにここを立去ることも出来ないので、一座の者は代るがわるに呼出されて、役人の訊問を受けてい....
丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
になりましょう」 その一言を遺して、悲鳴もなく安らかに消えて失せた。 丹那を立去る時がいよいよ来た純之進は、あくる日丹那山の唯一の名所、鸚鵡石を見物して行く....
人狼」より 著者:岡本綺堂
済まぬことをしました。堪忍して下さい。 (云いすてて、昭全は逃るように下のかたへ立去る。おいよは猶もじっとその跡を見送る。風の音。向うより田原弥三郎、三十四五歳....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
い枝に、山鴉が下りた。葉がくれに天狗の枕のように見える。蝋燭を啄もうとして、人の立去るのを待つのである。 衝と銜えると、大概は山へ飛ぶから間違はないのだが、怪....
正月の思い出」より 著者:岡本綺堂
け取って駆けつけて来た人々も大晦日では長居は出来ない、一通りの悔みを述べて早々に立去る。遺族と近親あわせて七、八人が柩の前にさびしい一夜をあかした。晴れてはいる....
温泉雑記」より 著者:岡本綺堂
挨拶するのも、土産ものを贈るのも、ここに長く滞在すると思えばこそで、一泊や二泊で立去ると思えば、たがいに面倒な挨拶もしないわけである。こんな挨拶や交際は、一面か....
自来也の話」より 著者:岡本綺堂
諧史」に載せてある。 京城に一人の兇賊が徘徊した。かれは人家で賊を働いて、その立去るときには必ず白粉を以て我来也の三字を門や壁に大きく書いてゆく。官でも厳重に....