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立向う
「立向う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
立向うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「美男子と煙草」より 著者:太宰治
しょうか。 「参ります。」 私は、泣きべその気持の時に、かえって反射的に相手に
立向う性癖を持っているようです。 私はすぐ立って背広に着換え、私の方から、その....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
うに、この時ひょいと立つと、肩を斜めに、衣兜に片手を突込んだまま、急々と床の間に
立向うて、早や手が掛った、花の矢車。 片膝立てて、颯と色をかえて、 「不可いよ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
んな応対で通り過ぎてしまう店先が多かった。無学を見透されまいと、嵩にかかって人に
立向う癖が彼についてしまっている。それはやがて敬遠される基と彼は知りながら自分で....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
つき倒れたのを介抱しようとすると、利家「敵を逃すな」と下知した。又兵衛命のままに
立向うと、大変な剛の者と見えて、忽ち又兵衛の甲の鉢を半分ほども斬り割った。それで....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
手、それにフルチオパルブリと称する、鉛を流し込んだ一種の投槍の上手なイリリヤ隊が
立向う。彼等は象の眼をねらって槍を投げる。象は狂奔する。哨楼を縛りつけている革紐....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
手に携えていた太い棒をグルグルと振り廻して、逃げ惑う味方を追っかけている武士方に
立向う。
美少年に立向った力士は、一太刀合わせるまでもなく、小手を切り落されて....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れでは拙者がお相手を致すでござろろう。 そこで、三宅先生が支度をして、南竜軒に
立向う。 南竜軒は竹刀《しない》を正眼《せいがん》につける。三宅先生も同じく正....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
りました。 ここは篠田が下宿している処でありまする、行馴れている門口、猶予わず
立向うと、まだ早いのに、この雨のせいか、もう閉っておりましたが、小宮山は馴れてい....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
縁側に手を支えて、銀杏返の小間使が優容に迎えている。後先になって勇美子の部屋に
立向うと、たちまち一種身に染みるような快い薫がした。縁の上も、床の前も、机の際も....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
霊を蔑にした罪を、慇懃にこの神聖なる古戦場に対って、人知れず慚謝したのであるる。
立向う山の茂から、額を出して、ト差覗く状なる雲の峰の、いかにその裾の広く且つ大な....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
じて妥協はせんぞ。陳君の讐を討ってやろう」 「ハハハハハ。無手で、このピストルに
立向うつもりかい。いくら、日本の少年でも、そいつはいけねえ。乃公に降伏しろ」 「....
「回想録」より 著者:高村光太郎
を棄てずに純粋にして大きくしなければならぬと思う。 然し彫刻としてむきになって
立向うというものは、どうしても鎌倉時代あたりに行かなければならぬ。鎌倉では矢張運....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
が鑿で刻んだという灰色の姿。月明に一目見ると、ずッと寄ったのが山の井さんで、もう
立向うと病魔|辟易。病人を包んだ空気が何となく溌とひらくという国手だから、もう大....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
節供の鶏合せのかわりに、鸚鵡を出されたというような思い切った趣向ができると、是に
立向うためにはどうしてもまた一段と頓狂な空想が、浮んで来ずにはおられなかったので....
「天狗」より 著者:室生犀星
を感じ、感じるときは既う額ぎわを切られていた。――それ故城下の剣客は誰一人として
立向うことができなかった。大桶口、犀川口を固めている月番詰所の小役人達も、かれが....