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立戻る
「立戻る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
立戻るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「自分だけの世界」より 著者:辻潤
れ、虐遇されたか、――そしてそれが如何にしてスチルネルの力によってその本来の姿に
立戻ることが出来たかという全二巻のロオマンスと見做してもよかろう。或は「自我」を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
しておりました、済まないこととは思いましたけれど、また先を急ぐ旅でございますから
立戻るというわけにもいかず、ついついそのまま通り過ぎてしまいました、こういって言....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
いますが如く斉眉きて一時余も物語りて、帰宅の道は暗うなりぬ。 急足に黒壁さして
立戻る、十|間ばかり間を置きて、背後よりぬき足さし足、密に歩を運ぶはかの乞食僧な....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の女の人は、お松でありました。 忠作は、その頼まれごとを勿怪《もっけ》の幸いと
立戻ると、お松は何か用向を言おうとして忠作の顔を見て、 「小僧さん、お前のお店は....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
だから、傍へ近《ちかづ》いても臭気紛々たるものであったそうだ。 また世子の方へ
立戻るが、世子は日に一回は必ず御霊前拝というがあって、この時は、袴を着け小刀を帯....
「傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
…。」 だが、彼女は云っていた。 「生殖と、性慾満足と、性慾享楽……。第一のに
立戻ることは、人間の生活が許さない。第三は、頽廃階級のことだ。第二だけが、生活的....
「霧の中」より 著者:豊島与志雄
義的な集りで、あらゆる意味での既成型、頭脳の習慣的な廻転を脱却して、本来の野性に
立戻るという主張だったが、実際に於てはただ消極的な批判にのみ終っていて、何等の活....
「現代小説展望」より 著者:豊島与志雄
から、面白い一節を引用してみよう。―― ……夕方であった。光は太陽と共に西へ
立戻るために、事物から離れかかっていた。事物とその光線とが見分けられない昼間のよ....
「意欲の窒息」より 著者:豊島与志雄
って、健康になって、そして帰ってきたところで、やはり同じ生活、意欲のない生活に、
立戻るだけのことではあるまいか。 病根はどこにあるのか。没落種族というような宿....
「青蛙神」より 著者:岡本綺堂
い世の中ということを知らないのは、お前さんぐらいのものだ。(鎌を持ちて行きかけて
立戻る。)おまえさんは何かに祟られているんだよ。 李中行 祟られている……。 柳....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
三郎 まだ日暮れだから狼も出まいが、気をつけて行けよ。 お妙 はい。(行きかけて
立戻る。)あの、兄さん……。 弥三郎 なんだ。 お妙 あの……。(云いかけて躊躇....
「妾宅」より 著者:永井荷風
な朴訥《ぼくとつ》な無邪気な人たちは幸福だ。自分も最《も》う一度そういう程度まで
立戻る事が出来たとしたら、どんなに万々歳なお目出度《めでた》かりける次第であろう....
「十六、七のころ」より 著者:永井荷風
《じょうし》の落梅を見たこの日の事を思出して言知れぬ興味を覚えた。 父は病院に
立戻ると間もなく、その日もまだ暮れかけぬ中《うち》、急いで東京に帰られた。わたく....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
。これは一時お身の上に変った事が起っても、その変った事が追々《おいおい》元の形に
立戻るという卦であります。この卦から考えて見ますと、現在のお身の上は一時変った事....
「放免考」より 著者:喜田貞吉
科者であるところのその放免囚自身すらも、無事にその刑期を終ったものはもとの公民に
立戻るべき筈であった事は、前引「西宮記」の文の明示するところである。しかしながら....