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立秋
「立秋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
立秋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「門」より 著者:夏目漱石
》を緩《ゆる》く舞う鳶《とび》とを連想していた。 とかくするうちに節《せつ》は
立秋に入った。二百十日の前には、風が吹いて、雨が降った。空には薄墨《うすずみ》の....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
蒲はどうでもよい。余が想像に描いた幽《かす》かな花は、一輪も見る機会のないうちに
立秋に入《い》った。百合は露《つゆ》と共に摧《くだ》けた。 人は病むもののため....
「秋の暈」より 著者:織田作之助
、団扇ではたくと、ちりちりとあわれな鳴声のまま、息絶える。鈴虫らしい。八月八日、
立秋と、暦を見るまでもなく、ああ、もう秋だな、と私は感ずるのである。ひと一倍早く....
「家」より 著者:島崎藤村
思われる頃まで、一枚ばかり開けた戸に倚凭っていた。 短い夏の夜が明けると、最早
立秋という日が来た。生家に居るお雪からは手紙で、酷しい暑さの見舞を書いて寄した。....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
クツクウシ、ツクツクウシ」と云うほのかな秋蝉の声を聞いた。
暦を見たら、今日が
立秋である。
八
八月十五日。
此頃のくせで、起き出る頃は....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
間にか金の花びらをふるい落して、その跡にざらざらの実を粒立たせているのが見える。
立秋からもう十日も経っているのに、相変らず暑い。 K氏来訪。開け放った応接室の....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
中元御祝儀を遠慮なく頂戴して、そのお汁を充分に吸いましょう。 ) 新秋雑想
立秋という日が過ぎて、どれだけ私のパレットの色数に変化を来したか、それはまだはっ....
「録音集」より 著者:豊島与志雄
録音集 豊島与志雄 八月の中旬、
立秋後、朝夕の微風にかすかな凉味が乗り初める頃、夜の明け方に、よく雨が降る。夜の....
「西瓜」より 著者:岡本綺堂
聞かせると、彼は忽ちそれを一笑に付してしまったのである。 暦の上では、きょうが
立秋というのであるが、三日ほど降りつづいて晴れた後は、さらにカンカン天気が毎日つ....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
に生い茂って、薊や、姫紫苑や、螢草や、草藤の花が目さむるばかりに咲き繚れている。
立秋とは名ばかり燬くように烈しい八月末の日は今崖の上の黒い白樫の森に落ちて、葎の....
「すっぽん」より 著者:佐藤垢石
淡白にも食趣の満足を覚えていたのであった。そしてちかごろ、私が特に楽しかったのは
立秋の後、越中の国八尾町から二、三里山中の下の名温泉に旅して、そこの地元を流れる....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
い。船の窓から見る名勝室戸岬の風景も、三十数年前の昔とは、まるで趣が異なる。殊に
立秋後の澄んだ明るい空気を透して、朝靄が岬の波打ち際に白く、またそして淡紅に輝き....
「大切な雰囲気」より 著者:石井柏亭
激に人の眼と神経をなぐりつけようとする傾向の画風と手法が発達しつつあり」と云い、
立秋奈良風景を描いては猿沢池から春日へ爪先あがりのかんかん照りの坂道を「丁度張物....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
四たび赤道をよぎりてようやく東に帰れば、霜月(陰暦十一月)のはるかな洋上に三伏〈
立秋後最初の庚の日・末伏〉の風が吹いている。食後の納涼には雲もおのずから散り果て....
「日を愛しむ」より 著者:外村繁
子がいつもと少し違っていたわ」 その翌日から、また暑い日が続いた。しかし、既に
立秋は過ぎた。気の故かも知れないが、どことなく秋の気配の流れるのを感じた。門前の....