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竟に
「竟に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
竟にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
いを醒し、あるいは密会所に小石を投げ込むこともある。 ところが彼は三十になって
竟に若い尼になやまされて、ふらふらになった。このふらふらの精神は礼教上から言うと....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
年間である。千七百八十九年の抑々の初めから革命終って拿破烈翁に統一せられた果が、
竟にウワータールーの敗北(千八百十五年)に到るまでを数えても二十六年である。米国....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
識に富んだ非常識な人――こういう矛盾だらけな性格破産者であって、この矛盾のために
竟に一生を破壊に終った人であった。 二葉亭の古い日記から二節を引いて以て二葉亭....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
に根こそぎ老木を伐採したために不測の洪水を汎濫し、八方からの非難攻撃に包囲されて
竟にアタラ九仭の功を一簣に欠くの失敗に終った。が、汎濫した欧化の洪水が文化的に不....
「露伴の出世咄」より 著者:内田魯庵
繋の翁も磁石に吸寄せられる鉄のように喰入って巻を釈く事が出来ず、とうとう徹宵して
竟に読終ってしまった。和漢の稗史野乗を何万巻となく読破した翁ではあるが、これほど....
「河童小僧」より 著者:岡本綺堂
の男は何者とも分らず、随って其の死因も分らず、いわんや其の下手人も分らず、詮議も
竟に其なりけりに済んで了ったとは、何ぼう哀れなる物語。で、彼の怪しい人かげは、正....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
われさへや
竟に来ざらむ。とし月のいやさかりゆく おくつきどころ ことしは寂しい春であった。....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
え、「先年屠者住居の村巷、町屋に続かずして野中にありしを、中世南都繁昌するの時、
竟に穢郷に連続す」とのみあって、その起原を書いてないが、同地の状態は「坂」と称す....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
と文化的向上とに生きる高貴なる人格たらんことをすすめ、かくて理想的共同体を――究
竟には聖衆倶会の地上天国を建設せんがために、自己を犠牲にして奔命する者、これこそ....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
り、余の疑いは実に粉々に打砕かれたるに同じ、余は殆ど返す可き言葉を知ず、あゝ余は
竟に此詮索を廃す可きか、余の過ちを自認す可きか。 余が殆ど思い屈したる折しも昨....
「運命」より 著者:幸田露伴
下し、械枷を体に被らせ、鉄鈕もて足を繋ぎ置きけるに、俄にして皆おのずから解脱し、
竟に遯れ去って終るところを知らず。三司郡県将校等、皆|寇を失うを以て誅せられぬ。....
「文士としての兆民先生」より 著者:幸徳秋水
と雖も之を要するに二種を出でず。即ち形態は人目を怡ましむる者にして其数万殊なるも
竟には線条の相錯われると色釆の相雑われるとに外ならず。声音は人耳も怡ましむる者に....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
静まる、宗義は銃を負って、岩から岩を殆んど四足の速さで、飛びながら追っかけたが、
竟に遁がしてしまった、もっとも羚羊は跛足を引いていたから、たしかに銃丸が、足へ当....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
蕭条、…………… そこまで読みかけると、正香はその先を読めなかった。「この意、
竟に蕭条」というくだりを繰り返し半蔵に読み聞かせるうちに、熱い涙がその男らしい頬....
「南島譚」より 著者:中島敦
情に耽っていた。しかし、或日のこと、アルモノグイ近辺から来た椰子蜜採りの口から、
竟に、事の真相を聞きつけた。 エビルは忽《たちま》ちカアーッと逆上した。世の中....