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「端倪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

端倪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
光と風と夢」より 著者:中島敦
であった。絢爛《けんらん》たる才気と洗錬された趣味と該博な知識とを有《も》った・端倪《たんげい》すべからざる才人だった。しかも彼は何を為したか? 何事をもしなか....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
、涙に、口に、はた容儀、心中のその痛苦を語りしこと絶えてあらず。修容正粛ほとんど端倪すべからざるものありしなり。されど一たび大磐石の根の覆るや、小石の転ぶがごと....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
ルドへ這入る。木の生えた岩石の島がちらばって、ジグ・ザグの小半島が無数に突出し、端倪すべからざる角度に両側から迫っている。ところどころに石油のタンクが見える。低....
丹下左膳」より 著者:林不忘
《な》さず去就《きょしゅう》つねならぬ泰軒の乞食ぶりには忠相もあきれて、ただその端倪《たんげい》すべからざる動静を、よそながら微笑をもって見守るよりほかはなかっ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
」 と下知をくだした。 帰って来たかと思うと、たちまち出発――いつもながら、端倪《たんげい》すべからざる伊賀の暴れん坊の行動に、安積玄心斎をはじめ一同はあっ....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
さには妙な悲しみがつきまとうものだが、秀吉の足跡にもそのようなものがあり、しかも端倪すべからざる所がある。三十三間堂の太閤塀というものは、今、極めて小部分しか残....
方則について」より 著者:寺田寅彦
、あるいは距離の大なるほど大であったと仮定したら、天地万物の運動はすべて人間には端倪する事の出来ぬ渾沌たるものになるであろう。如何なる強度の望遠鏡でも窺う事の出....
レンブラントの国」より 著者:野上豊一郎
じりついているに対し、後者は奔放自在に筆を駆使して天に登ったり地にもぐったりして端倪を知らざるものがある。どちらも抜群の色彩家ではあるが、前者は暗褐色の主調を最....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
少四人二分を乗じただけの人数が、顎十郎の手足のように働くとしたら、これまた一種|端倪《たんげい》すべからざる勢力である。 まず、だいたいこんなようなあんばい。....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
》閑散、いたずらに悠長な、このような絶海の一孤島へ到着したかといえば、これまた、端倪《たんげい》すべからざるタヌの主張によったもので、その主張の根源は、ある一日....
三枚続」より 著者:泉鏡花
呈するなど、慌てたような、落着いたような、人の悪いような、呑気なような、ほとんど端倪すべからざる、たとえば竜のごとき否、むしろ大雨に就いて竜を黙想しつつありしが....
チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
ホフの雰囲気」を時として押しひらいて、冥々のうちに作家チェーホフを支え導いていた端倪すべからざる芸術的|叡知の存在を明かすとともに、この叡智の発動形式の一端に私....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
。この快活、饒舌、柔和、慇懃、陰険、横柄、勇敢、残忍、聡慧、雄弁、剛胆、狡猾――端倪すべからざる人物は、実に溌剌として紙上に躍っているのが見られるであろう。 一九三五年十月佐々木直次郎....
世界漫遊」より 著者:ダビットヤーコプ・ユリウス
うかすると盛んな酒盛になる。ドリスが色々な思附きをして興を添えてくれる。ドリスが端倪すべからず、涸渇することのない生活の喜びを持っているのが、こんな時にも発揮せ....
それから」より 著者:夏目漱石
ている。言葉だけは滾々《こんこん》として、勿体《もったい》らしく出るが、要するに端倪《たんげい》すべからざる空談である。それを基礎から打ち崩して懸かるのは大変な....