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端正
「端正〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
端正の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「おしの」より 著者:芥川竜之介
とっている。しかし大体《だいたい》の目鼻だちは美しいと言っても差支えない。いや、
端正に過ぎる結果、むしろ険《けん》のあるくらいである。
女はさも珍らしそうに聖....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
涙が一杯に溜ると、そのために、美しいものでも歪んで見え、またこよなく醜いものが、
端正な線や塊に化してしまうことがあるのです。現に、伊太利《イタリー》の十八世紀小....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
その下からは思いの外若い男の顔が現れた。両眼を力なく閉じているが、そのあまりにも
端正な容貌! 「ああ、貴下は……西一郎!」 そう叫んだのは同じ妖女の声だったが....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
仰向けになった。八月下旬に近く、虫がしんとした遠近の草むらで啼いている。麻川氏の
端正な顔が星明りのなかでデスマスクの様に寂然と見える。ひょっとしたら、尖った鼻先....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
あるところは、奥底知れない神性の啓示でもあろうか。醜い死面の陰影は、それがために
端正な相に軟げられ、実に何とも云えない静穏なムードが、全身を覆うているのだ。その....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
し上げ、真赤になって喚いている。その相手だと見えて、氏の前にいたフランケ青年が、
端正な顔をあげていった。 「警告なさるのは自由だが、しかし艇長の信念を曲げさせる....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
長襦袢。水の垂りそうな、しかしその貞淑を思わせる初々しい、高等な高島田に、鼈甲を
端正と堅く挿した風采は、桃の小道を駕籠で遣りたい。嫁に行こうとする女であった。…....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
小春の雲の、あの青鳶も、この人のために方角を替えよ。姿も風采も鶴に似て、清楚と、
端正を兼備えた。襟の浅葱と、薄紅梅。瞼もほんのりと日南の面影。 手にした帽子の....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
余りくさくさするもんですから、湯呑で一杯……てったところ……黙ってて頂戴。」――
端正どころか、これだと、しごきで、頽然としていた事になる。もっとも、おいらんの心....
「死者の書」より 著者:折口信夫
の思召しで、其から一里北の藤井|个原に遷され、藤原の都と名を替えて、新しい唐様の
端正しさを尽した宮殿が、建ち並ぶ様になった。近い飛鳥から、新渡来の高麗馬に跨って....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
妄想を逞しくして居る間、逸作は二間|程離れておとなしく取引きである。逸作のような
端正な顔立ちには月光の照りが相応しそうで、実は逸作にはまだそれより現世に接近した....
「中毒」より 著者:織田作之助
の羨むような美女でも、もし彼女がウェーブかセットを掛けた直後、なまなましい色気が
端正な髪や生え際から漂っている時は、私はよしんば少しくらい惚れていても、顔を見る....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
の作風が、『ふゆくさ』以後、自ら語の正確さを疑い出したものか、此までどおり明確・
端正を保って居ながら、ある点に達すると手を抜く、と言う様な手法を発見した様である....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ところで――芝居|行です。が、どの道、糸錦の帯で押立よく、羽織はなしに居ずまいも
端正としたのを、仕事場の机のわきへ据えた処で、……おなじ年ごろの家内が、糠味噌い....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
、推して知るべきなり。 米国にて聞くところによるに、ヤソ教の僧侶ことごとく品行
端正にして信教篤実なるにあらず、その三分の二は内実はなはだ疑わしといえども、表面....