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競う
「競う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
競うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
は》をふりかざして、法師の後《うしろ》に従うた聖衆《しょうじゅ》の車馬剣戟と力を
競うて見るがよいわ。」と、末は嘲笑《あざわら》うように罵りました。
元よりこう....
「妖術」より 著者:泉鏡花
の裏へ入る場所なれば、何の卑怯な、相合傘に後れは取らぬ、と肩の聳ゆるまで一人で気
競うと、雨も霞んで、ヒヤヒヤと頬に触る。一雫も酔覚の水らしく、ぞくぞくと快く胸が....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
して刈ってるが、四|把と五把との割合をもってより多く刈る。省作は歯ぎしりをかんで
競うて見ても、おとよさんにかけてはほとんど子供だ。おとよさんは微笑で意を通じ、省....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
てられた。宋人の茶に対する熱狂はとどまるところを知らなかった。食道楽の人は互いに
競うて新しい変わった方法を発見しようとした、そしてその優劣を決するために定時の競....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
どこの土地でも大仕掛けの花火を誇りとする傾きがあるらしいが、いたずらに大仕掛けを
競うものには、どうも風趣が乏しいようである。花火はむしろ子供たちがもてあそぶ細い....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
とは、ここから約二十マイルばかりのところ。さだめし、向うも上陸隊がでて、この隊と
競うだろう。風雲も死闘もそのうえの事と、いよいよ二十台の犬橇が氷原を走りはじめた....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
地の碧潭に謫されたのである。……トこの奇異なる珍客を迎うるか、不可思議の獲ものに
競うか、静なる池の面に、眠れる魚のごとく縦横に横わった、樹の枝々の影は、尾鰭を跳....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
卓子を囲んだから、端から端へ杯が歌留多のようにはずむにつけ、店の亭主が向顱巻で気
競うから菊正宗の酔が一層|烈しい。 ――松村さん、木戸まで急用―― いけ年を....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
かったが、赤い色の大きなのが咲きそめて、今はもう、石竹、なでしこの類が千紫万紅を
競うている。そして、この花間を蒼面痩躯の人達が首うなだれておもむろに逍遙している....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
く御手洗池に近寄った。蠑※が時々赤い腹を出して、水底に蜒転するのは、鎌の血と色を
競うかとも見えた。 滝之助は血鎌を洗う前に、清水を手に掬って、喉の乾きを癒やさ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
で、大分|懇にもてなされた。かこい網の見物に(われは坊主頭に顱巻して)と、大に気
競う処もあって――(鰯、鯖、鰺などの幾千ともなく水底を網に飜るありさま、夕陽に紫....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
田に威武を張り、樗牛は新たに起って旗幟を振い、四方の英才|俊髦一時に崛起して雄を
競うていた。二葉亭は『浮雲』以後全く韜晦してこの文壇の気運を白眼冷視し、一時|莫....
「今日になるまで」より 著者:上村松園
聞いては紹介状を貰って、のこのこ出掛けて行きました。殊に祇園祭には京都中の家々が
競うて秘蔵の屏風、絵巻や掛軸などを、陳列しますからこの機会を逃さず、写生帖を持っ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
隅に小動物園を並置す。また、日本より移植せるつつじあれども花なし、ただ秋花の艶を
競うを見るのみ。当市は豪州中の人口にては第四に位する都会なり。 第一はシドニー市....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
一興なり。など空想を描きつつ窓によりて進む。 田の面一般に白く、今を盛りと咲き
競うは、中稲にやあらん、田家の垣には、萩の花の打ち乱れて、人まち顔なるも有り、青....